俺は大体どこに行っても男女扱いだ。身内でも、外でも。
しかしれっきとした女だと主張する。好みのタイプだってある。
あーそうだな、旨そうに飯を食うやつと俺に気後れせずに接してくれるやつ。
好みが女っぽくない? ほっとけ。とにかく女なんだよ俺は。
で、だ。俺も女だから恋愛だってする。相手はもちろん男だ、俺はノーマルだからな。
似合わん? 知るか、何が悪い。恋ぐらいしたって罰は当たんねえだろ。
まあ、つっても俺を女扱いする男なんて数多くいるわけもない。
大体の男は俺を同性か何かと勘違いして飯やゲーセンに誘う。それはそれで楽しいが、色めいた気配はそこにない。
だから貴重な男が現れたら、多少のことには目をつむって大事にしようって思ってたさ。
だけどなんだ、実際に何度も鳴かされたり、耳元で可愛いとか言われるとこう、背筋がぞくってなるわけだ。
こっちは嫌がってんのに向こうは止めるどころかエスカレートして『もっと顔見せて』とか、なあ、困るだろ。
『恥ずかしがってるのが可愛い』とか『俺だけに女の純さんを独り占めさせてください』とか歯の浮いた言葉で誤魔化されるしよ。
とは言ってもこういうのは他がない方が弱い立場だからな、浮気されたり他に女がいたりしても俺から振るなんて無理だよな。
つうかそれ抜きでも骨抜きに近いし抜けらんねえっていうか。
なんだよ国広くん、お前から聞いてきたんだろ? もうちょい話に付き合えって。逃げんなよ。
肝心の相手? 京太郎だよ京太郎。お前も知ってんだろ、清澄の男子。
まあまあ国広くん、席を立たなくてもいいじゃないか。さすがに透華や衣にはこういうの話せないしな。
さあ、もうちょい聞いてくれって。
カン
最終更新:2018年04月29日 23:05