─咲のこと、お願いね。京ちゃん…。
照さんにそう頼まれて、もう何年経ったか。
咲は、俺がそばに居ようとする理由を知らない。
それなのにあいつは、無邪気に、無防備に俺に付いてくる
俺は、照さんのためにお前と一緒に居るだけなのに…。
「きょ、京ちゃん…これ、バレンタインのチョコ…」
だから、そんな熱の籠もった目で俺を見るな。
「京ちゃん!この本、すっごく面白いんだよ?」
俺なんかに、嬉しそうな笑顔を向けるな。
「京ちゃん…私を麻雀部に誘ってくれて、ありがとう」
「何も出来ない私にも取り柄があるんだって、自信を持てたの」
「これで少しは胸を張って、京ちゃんの…そばに居られると思うから」
感謝なんて、しないでくれ…。
「あの、ね…京ちゃん。わたし…京ちゃんの、ことが─」
─好きだなんて、言ってくれるな!!頼むから…!!
完
最終更新:2018年04月29日 23:14