インターハイが終わり俺、須賀京太郎は憂うつな朝にため息を一つ。
テーブルの上にはここ数日で見慣れてしまった雑誌の見出しが残されている。
『無名校からの優勝、清澄高校の裏に迫る』『幻の六人目の正体を明かせ』『金髪マネージャーの朝から夜まで徹底サポート』……以下省略
そう、優勝会見でテンションの上がり切ったうちの女子部員たちは『やらかした』のだ。
涙ながらに雑用をしてくれた男子への感謝をこぼす部長、手作りタコスへの愛を叫ぶ優希、幼馴染への告白をしてしまった咲、皆と六人一緒にいられると目に涙を浮かべてほほ笑んだ和、後輩への感謝と育成を誓った染谷先輩
その結果何が起こったか?
俺に対する執拗な取材請求と、あることないこと書き立てるマスコミ、そして弄りだす学校のやつらの三連コンボだ!
京太郎「ああ、学校行きたくない」
俺の切実な思いをよそに、開き直った女子の声が今朝も我が家に響く。
咲「京ちゃん、愛しの幼馴染が起こしに来たよー!」
久「須賀くん、一緒に学校行きましょ!」
優希「今度は私が昼食のタコス作ってきたじぇ!」
和「て、手を繋いでいいですか!?」
まこ「お前ら少しは自重せえ。大丈夫か、京太郎?」
俺は最後に残された幾分ましな労りの声に、ぎこちない笑みを浮かべて何とか反応を返す。
京太郎「一応生きてます。……なんでこうなった?」
俺の平穏な麻雀部員生活、もしくは雑用生活はどこに消えたのか? なくした今では戻りたいほど懐かしい。
こうして俺の望んでいない強制ハーレム生活が今日も始まった。学校中のやっかみと怨嗟と弄りを添えて。
カン
最終更新:2018年04月30日 19:48