照『リーチ』

照捨て牌:5s5s7s4p9p2s

界『おいおい照…いくらなんでも早すぎだろ』

咲『待ちが読めない…』

京太郎『…おじさん』

界『ん?なんだい?』

京太郎『照お姉ちゃんのリーチ、多分気をつけた方がいいよ』

咲『え?』

照『…!』

界『気をつける…って言ってもこんなもん何止めたらいいかも分からんし…』

京太郎『あのね…』チラッ

照『…ん?』

京太郎『…ごめんなさい。まだ対局中だった…』

照『…いいよ』

京太郎『え?』

照『説明してみて。何があぶないと思ったのか』

京太郎『…!うん!』パァァァ

界『何が何やらさっぱり…』

京太郎『あのね、一巡目と二巡目がチートイツを拒否した手出し5sのトイツ落としでしょ?』

界『ああ』

京太郎『じゃあ普通に考えたら、ホンイツかチャンタ、それかドラとかその回りを固めた普通に早い手の可能性が高いよね?』

界『そ、そうだな!』

咲(お父さん絶対分かってない)

照(お父さん絶対分かってない)

京太郎『でも照お姉ちゃんならホンイツだったらもっと工夫するはずだし、ドラを抱えた早い手でも
    あんな派手なトイツ落としはやらないよね』

界『ふんふむ』

照『…』

咲『じゃあ京ちゃんはチャンタだと思うの?』

京太郎『チャンタだったら1~3と7~9…それと字牌が全部切りにくくなるし、
    宣言牌の2sが下の三色を狙ったみたいにも見えるよね…けど』

照『けど?』

京太郎『そんな単純な読みでいいのかな~って。照お姉ちゃんなら、待ちを分かりにくくした
    もっと高い手なんじゃないかな~って思ったの』

咲『もっと高い手って?』

京太郎『分かんないけど、オレは国士が嫌だなぁ。だから咲ちゃんもおじさんも、9p以外のヤオチュウハイは
    切らない方がいいと思うな』

界『この巡目とあの捨て牌で国士?ないないwwww』ハハハ


【打発】


照『ロン。46000』

界『!?』

1s9s1p9p1m9m東南西北白白中

界『ギャァァァァァ!お、親国!』

京太郎『だから言ったのに…』

京太郎「…ハッ!夢か」ムクッ

京太郎「ふぅ…よく寝た。でもなんであんな昔の夢を…」

咲「京ちゃん!」

京太郎「ああ…咲か。何よ?」

咲「何よ?じゃないよ。聞いたよ?もう入学して2週間になるのに
  どの部活にも入ってないんだって?」

京太郎「んだよそんなことか。せっかく人が気持ちよく昼寝してたってのによ…」ゴロン

咲「入りたい部活がないなら一緒に麻雀部に…」

京太郎「やだ」

咲「…即答だね」

京太郎「俺は3年間帰宅部として放課後と休日は惰眠を貪り、そしてカピーと戯れるのよ」

咲「ふーん。じゃあ私のお願いは聞いてくれないんだ」

京太郎「くどーい!大体お前が入って団体戦の人数も足りたんだろうが。今更男子の俺が入る必要なんて…」

咲「レディースランチ」

京太郎「!?」ピクッ

咲「京ちゃんが麻雀部に入ってくれないなら、もう代わりにレディースランチ頼んであげない」

京太郎「!!??」

咲「京ちゃん(見た目は超絶イケメンなのに)私以外にはコミュ障だもんね。特に女子には」キュフフフ

京太郎「さ、咲…お前いったいいつからそんな極悪非道な魔王に…」

咲「さぁ?で、どうするの?麻雀部に入るか、私の代わりにレディースランチ頼んでくれる女友達なり彼女を作るか」

京太郎「…ウグゥ」

久「ごめーん。会議が長引いて遅れたわ…って」

まこ「お疲れさまじゃの。あの男子か?」

久「ええ…一年生の子かしら。さすがに二年生以上であの髪の色なら気づかないわけないわよね」

まこ「咲が連れてきたんじゃ。で、腕試しも兼ねて一年生だけで囲んどる」

久「なるほどねー。まこから見て腕のほどは?」

まこ「今はラス目。まだ半荘一回目のオーラスじゃから何とも言えんが…」

久「トップまで倍ツモじゃキツいわよねぇ…。どれどれ?」スッ


京太郎手牌:235s445566p6777m【ツモ4s】


京太郎「…」

久(あら、ちょうどテンパイ。ドラの7m暗刻でマンズの変則三面張567m待ち…
  でも一発か裏が絡まない限り、倍満狙いならリーチかけてのツモアガりのみ…しかも58m限定)

京太郎「リーチ」


【打6p】


久&まこ「!?」

まこ(ピンフ三面張を消して25sのノベタンリーチじゃと!?)

久(自分がドラの7mを固めてるから、比較的6mは通り易いと読んだ?それともただの素人?)

~次巡~

京太郎「…」スッ


2345s445566p777m【ツモ7m】


久(4枚目のドラ…!)

まこ(一発で持ってきおった!)

京太郎「カンです」

和「!?」

優希「はい!?」

咲「しまった…!」


2345s445566p  7777m《暗カン》


京太郎「…嶺上ツモ」パチン


2345s445566p  7777m《暗カン》 【ツモ5s】


京太郎「新裏ドラ乗らずの8000オールでラストです」ドン!!

久「君…名前は?」

京太郎「!?」ビクッ

久「そんなに驚かなくてもいいなじゃない…後ろから話しかけたのは悪かったけど」

咲「ごめんなさい部長…京ちゃんはこう見えてコミュ障なんですよ。年上の人、
  しかも女子に話かけられるといつもこんな感じで」

京太郎「…ごめんなさい」オロオロ

久「謝らなくてもいいのよ。こっちこそいきなり話しかけてごめんなさいね。
  私は竹井久。麻雀部の部長で学生議会長も兼任してるわ」

京太郎「須賀…須賀京太郎です。咲に連れられて来ました…お邪魔してます…」ペコリ

久「須賀君ね。よろしく。一つ聞きたいんだけどいいかしら?」

京太郎「?」

久「今の局アガり、何でソーズのノベタンの方に受けたのかしら?嶺上開花できることが分かってたの?」

京太郎「い、いえ。あの…その…俺はそんな咲みたいなことは…」

まこ(確かに打っとるときとはまるで別人じゃの…)

久「落ち着いて。ゆっくり答えてくれて構わないわ」

京太郎「…原村さんが」チラッ

和「?私が何か?」

京太郎「あ、あの…トップ目の原村さんが…カン7m待ちで張ってるような気がして…」

和「!?」

京太郎「ひっ…!お、俺の勝手読みですみません…ゴメンなさい…だ、だから7mを打ちたくなくて…
    でも4枚目が山のどこにあるか読めなくて…引いてきちゃったらと思うと怖くて…だから…」ビクビク

優希「のどちゃんそうなのか?」

和「…」

久「和、手牌を見せてもらってもいい?」

和「…はい」パタン


1168m234p789s白白白


まこ「なんと…」

優希「すごいじぇ…」

咲「相変わらずの感覚の鋭さだね」

久「え?相変わらず?」

咲「京ちゃんは小さい頃から宮永家の家族麻雀に参加してますから」

京太郎「強制的にな…」ボソッ

咲「何か言った?」

京太郎「ナンデモゴザイマセン」

咲「運量はともかく、山と他家の当たり牌を読む嗅覚に関しては私とお姉ちゃんよりも上だしね」フンス

京太郎「何でお前が自慢気なんだ」ムギュ

咲「いふぁいよひょうひゃん!ほっへひっふぁらないれ!」ジタバタ

久(咲に対しては自然…っていうかむしろスキンシップ過剰ね)

まこ「たしか咲のお姉さんといえば…」

咲「はい。宮永照…去年と一昨年のインターハイチャンプです」

京太郎「照さんか…あの人は強いよなぁ。一昨年にあの人が直対で負けたって聞いたときは、
    正直言って自分の耳を疑ったぜ…」

咲「お姉ちゃんプロ目指して東京に行っちゃったからね」

和「…納得いきません」

優希「どうした?のどちゃん?」

和「納得いきません!須賀君!!」

京太郎「!?」ビクッ

和「捨て牌に情報は無かったはずです!どうして7mを一点で止められるんですか!」

京太郎「ひっ…!ご、ごめんなさいぃぃぃぃ…」ビクビク

久(これは重症だわ…)

咲「まあまあ和ちゃん…京ちゃんの感性は独特だから理解しようとしても無駄だよ」

和「咲さんまで…」

咲「正直さ、たとえば予備知識なしでピカソの絵を見せられても、私たちには何が凄いのか分からないよね?」

和「それは…まぁ」

咲「でしょ?つまりはそういうことなんだよ!」

和「…でもやっぱり理解はできても納得いきません!須賀君!」

京太郎「は、はい」

和「もう半荘行きますよ!」

京太郎「いやあの…」

和「何ですか!?」

京太郎「こ、ここに来たときもいいましたけど、俺…マネージャー希望なんですけど…」オソルオソル

和「却下です!」

京太郎「!?」

咲「あーあ…和ちゃんのスイッチが入っちゃった。私しーらない」

京太郎「おいコラ咲!約束が違うじゃねーか!お前が雑用とかしてればいいって言ったから俺は…!」

咲「何の話?」シレッ

京太郎「テメェ!」ムギュウ

咲「ふぁからほっへふねらないれ!」ジタバタ

和「イチャついてないで早く卓についてください!」


カン!

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最終更新:2019年03月11日 00:50