それはとある嘘の許される日、
久「須賀くん、好きよ。私と付き合ってくれない?」
京太郎(随分と分かりやすい嘘をつくなこの人、もっと奇をてらうと思ってたんだけど)
もうすぐ大学に通う元部長が訪ねてきて開口一番のセリフに
京太郎「いいっすよ」(嘘)
そこから彼の運命は歪み始めた。
同日、
優希「この私が犬と付き合ってやるじぇ! 感謝するんだな」
京太郎「ほいほい、わーたっよ」(嘘)
昼休み、
和「あの須賀くん、私あなたのことが」
京太郎(和までか、こりゃ麻雀部総ぐるみかな)
京太郎「分かった、俺も好きだから付き合おうぜ」(嘘)
クラスの中で、
咲「あのね京ちゃん、私京ちゃんじゃなきゃダメなの。だからよろしくお願いします」
京太郎「しゃーねーな、一生面倒見てやるよ」(嘘)
部室で雑用をしているときに
まこ「すまんが京太郎、付き合ってくれんか?」
京太郎「いいっすよ」(嘘)
……結果、須賀京太郎は女子全員の前で正座させられた。
久「ねえ、須賀くん、私のこと好きって言ったわよね?」(ピキピキ
優希「乙女心を弄んだのか? そんなことするとは思わなかったじょ!」
和「須賀くん、いえ京太郎くん、この人たちが言っているのは嘘ですよね? 私だけですよね?」
咲「京ちゃん、ひどいよぉ」(ポロポロ
まこ「いやわしは店を手伝ってくれっていっちょっただけで、ここにいるのは場違いなんじゃが」
京太郎「そんなこと言われても、今日なら嘘って思うじゃないですか!」
必死に言い訳する須賀京太郎だったが、「いざとなったら嘘ってことで逃げ道を作っておこう」などというヘタレな乙女心に気付けという方が困難であったろう。
そして小心でいながら強かな女たちはどうやって自分だけのものにする画策を始めたのであった。
カン
最終更新:2019年03月11日 00:51