恒子「さあインターハイ、ダブルス麻雀!すこやん的チェックポイントはどこでしょう?」

健夜「す、すこやんて…まあ個人的に注目してるのは、清澄高校のふたりでしょうか」

 恒子「おーっと、男に飢えたアラフォーが見つめるのは、ダブルス唯一の男性選手!」

 恒子「同競技をインターミドルで三連覇したチャンピオン!須賀京太郎だーっ!」

 健夜「アラサーだよ?!と言うか京太郎君と私はそんな関係じゃ」

 恒子「夢にまで見ちゃう親戚の男の子を青田刈りしようとは…そこまで婚期に焦って」

 健夜「違う!と言うか夢で見たのはカピバラのカピーちゃんだよ!」


 洋榎「おうガースー、ついでに宮永妹。今日こそは綺麗に勝たせて貰うで」

 咲「望むところです…私と京ちゃんのペアは最強ですから!」

 絹恵「よろしくなー、京くん♪全国で逢えるなんて嬉しいわぁ」

 京太郎「俺もですよ絹恵さん。よかったら後で一緒に東京巡りに」

 洋榎「コラァ!なに全国大会で人の妹口説いとんねん!」

 咲「京ちゃん…後で私とお姉ちゃんとで東京観光に行くって言ったよね?」

 京太郎「痛い痛いカメラの前でスネを蹴るのは止めてくれ!」

 恒子「清澄高校は須賀・宮永ペア、姫松高校は愛宕姉妹ペアという対戦になっております」

 健夜「清澄高校は無名だけど、選手はインターミドルのダブルスで鳴らした強豪ですね」

 恒子「須賀が三連覇で、宮永が二連覇でしたか。宮永は二、三年生時に須賀とペアで…」

 健夜「京…須賀選手は一年生時に宮永選手の姉の宮永照と組んで優勝しています」

 恒子「絶対女王はダブルスも強いんですねぇ。彼女、インハイでもダブルス二連覇ですし」

 健夜「それもありますが…今の麻雀ダブルスルールは仲間のアシストが肝なので…」

 健夜「如何に仲間に上手く振り込むかが大切です。でも、須賀選手の強みはそれだけじゃない」

 ※

 京太郎「ほい捨て牌一丁!」

 咲「はいそれロン!」

 絹恵「あちゃー…またやられてもうた」

 洋榎「おま…!ええかげん何巡もしないうちに終わらすのやめーや!」

 咲「いやだって、京ちゃんと打つと異様に上がりやすくなるから…」

 京太郎「自分が上がれない分、他人に運が回るんですよねぇ」

 絹恵「ダブルスではその対象を相方に絞れば、最大限の援護ができる…よく考えたなぁ」

 洋榎「そんで仲間が点棒溜めたところで自分がトンで対局終わらせるいつもの手やろ?!」

 洋榎「こんな焼き鳥前提の焦土戦術、麻雀やない!チートや、チート!」

 絹恵「言うてルールでは全く問題ないし、そもそも勝てないこっちがアカンって」

京太郎「あぁ、絹恵さんはやっぱり素敵な人だ…どうです俺とペア組んで」

 咲「は?」

 洋榎「あ?」

 京太郎「いえ、何でもありません…」

 恒子「なるほどー…シングルでは不利にしかならない能力を最大限利用して…」

 健夜「そう。仲間を援護しつつ相手チームを道連れにする、自己犠牲の極地です」

 恒子「雀力で劣る男子で唯一、全国のダブルスに出てるだけはあって凶悪ですねぇ」

 健夜「…まあ、独力で勝てないのはたぶん、彼としては複雑だと思いますけど」

 健夜「それでも舞台に立って活躍できるのは、彼にとってこの上ない喜びでしょうね」

 ※

 咲「ツモ!これで終わりです、ありがとうございました!」

 洋榎「振り込まんでも引きがアホほど良くなるからもーどうにもならん…」

 絹恵「やられた…今日もまた勝てんかったなぁ」

 京太郎「ありがとうございました、洋榎さん、絹恵さん」

 洋榎「…ま、大の男に捨て身で突っ込まれちゃかなわんわ」

 洋榎「インハイでガースーとやるのはこれが最初で最後やけど…次の舞台じゃ負けへんで」

 京太郎「はい。もしよかったら、いつかペア組んで出場しましょう」

 洋榎「…ま、ほーんのちょっとくらいは考えたる」

 絹恵「なんやお姉ちゃん、嬉しいくせにそっぽむいて。顔赤いで~?」

 洋榎「ほ、ほっとき!これは…そう、怒りや!チャラ男への怒りで真っ赤なんやっ!」

 咲「ほんと京ちゃんってばチャラ男だよねぇ?私とお姉ちゃんだけでは飽き足らずに…」

 京太郎「ひ、人聞きの悪い言い方をするな咲!まあ…でも、そうだな」

 京太郎「運の欠片もない俺が、麻雀で勝って楽しめるのは、お前や照さんのおかげだ」

 咲「知ってるよ。でもね…私が笑顔で麻雀を打てるのは、京ちゃんのおかげ」

 咲「京ちゃんがいつも対面にいてくれるから…心細くないし、勇気をもらえるの」

 京太郎「そっか…ありがとな、咲」

 照「気にしなくていい。京ちゃんが傍に居てくれるだけで、私は無敵になれるから」

 咲「え、お姉ちゃん?!い、いつのまにここに…!?」

 京太郎「照さん?!白糸台のほうの試合は…」

 照「もう終わったよ、トバしてきたから。そして次にトブのは…咲の番」

 咲「むぅ…こ、怖い顔したって、私には京ちゃんが居るんだからね!」

 照「それも今日限りだよ…次の試合で咲を倒して、京ちゃんを取り戻すから」

 咲「いいよ、叩き潰してあげる…私と京ちゃんのペアは最強なんだからっ!」

 京太郎「いつの間にそんなことが決まってるんだよ!?」

 咲「邪魔者は全部ゴッ倒す…!」

 京太郎「俺の話を聞けーっ!!」

 カン!

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最終更新:2019年03月11日 00:53