• とある山中


京太郎「はっ、はぁっ……! はぁっ……クソッ!」

穏乃「待ってよ京太郎ー!!」

京太郎「……待てるかっつーの……!!」

全力で走る須賀京太郎を、小さな影が追い回す。

そろそろ呼吸を整え、1度身体を落ち着かせないと、逃げるペースを維持出来ないが、今はその隙が見つけられない。

京太郎(まだ追ってくるのかよっ……くそっ、このままじゃ……)

事実を知りひたすら逃げる京太郎。
それを追うは、運良く(運悪く?)京太郎の逃走を目撃した、阿知賀女子麻雀部の高鴨穏乃。

逃げ始めて既に4時間も過ぎた。
持っていた荷物も投げ出し、帰るべき長野の地などとうに過ぎ去り、それでもひたすら駆け続けている。


京太郎(息も上がってきた……このままじゃ捕まる……一度隠れてやり過ごさねぇと……)

山間を抜け幾度目かの人里が見えたタイミングで、京太郎はそう決心しありったけの力を振り絞って突き放し、目に付いた建物へ逃げ込むのだった……


――――


トシ「……で、這う這うの体で女子高に侵入した訳だね?」

京太郎「すいませんでしたぁっ!」

トシ「冗談だよ。 あんたを見た時、只事じゃあないのは何となく察したしね……で、追っ手をまいてどうするんだい?」

京太郎「えっ? いやまぁ帰りますよ勿論」

トシ「何処に?」

京太郎「長野に」

トシ「どうやって?」

京太郎「どうやってって……ケータイも財布もバッグに入ったままだったし……走って?」

トシ「バカを言いでないよ」ペシッ

京太郎「あ痛っ」

トシ「ここから長野まで、一体どれだけあると思ってるんだい? ココは岩手だよ。」

京太郎「いやでも」

トシ「でももカカシもないよ。 ……しょうがないねぇ……」

――――


  • 宮守女子 麻雀部部室


京太郎「という訳で、暫くお世話になります!」

トシ「雑用のアルバイトだと思っていいよ。」


塞「熊倉先生が男連れ込んだのかと……」

エイスリン「ビックリ!」

胡桃「うちにアルバイト雇う余裕あったんだ……」

豊音「よろしくねー?」

白望「……何言いつけてもいいの……?」

京太郎「はいっ、俺に出来る事なら何でも!」

白望「じゃあ……登下校と教室移動……あと部室まで、全部おぶって運んで……」

塞「そっ、そういうのはダメでしょう! 須賀君も男子なんだし……取り敢えず、まずは部室の整頓や清掃して貰えば良いのかな?」

胡桃「働きはしっかり見てるからね」

京太郎「あはは…… まぁ、お任せください!」


こうしてどうにか難を逃れた京太郎は、恩人である熊倉トシへの恩返しと、長野に帰る路銀稼ぎを兼ねて、宮守女子で一生懸命働きましたとさ。


めでたしめでたし

――――


塞「須賀君かぁ……結構、良い……かな」

胡桃「先生の目付けなだけあるよね」

白望「……アルバイトだけって……勿体ない」

豊音「仲良くなってー、みんなで一緒がいいよねぇ? ずーっと……」

エイスリン「イッショガイイ!」

塞「それじゃあ……」



めでたしめでたし……


カンッ

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最終更新:2019年03月11日 01:01