※原作から一年経って、京ちゃんは二年生です

京太郎「あー、しくじったなぁ……」

わきに挟んでいた体温計を確認すると、39.5℃と表示されている
心当たりはある
昨日の照りに照った太陽を浴びながらの雑用による疲労、そしてシャワー浴びてから髪乾かさずに即ベッドインしたからだよなぁ
免疫力が弱っていた身体に、風邪は容赦がない

京太郎「……染谷部長とかメールで謝りまくりだったよな、気にしすぎだって……」

暑い日に多めの買い出しを俺に頼んだのはあの人だけど、その後の対応を誤ったのは俺な訳で……一人で責任負ったりしないでほしい
部の他のメンバーも心配して連絡くれたし、皆良い娘だよな

京太郎「咲や優希のやつも見舞いに行くって勇んで電話かけてきたが、それでうつったら目も当てられんっての」

これから地区予選も全国もやってくる、俺だけのために迷惑かけられるかよ
その辺りは和が一番冷静で、あの二人をしっかり諌めて練習に集中させてた
頼りになるけど、メールで次があればフォローできないと思うと宣告された
……まじ体調管理しっかりしないとなぁ

京太郎「……あつぅ」

額の冷えピタももうぬるい、何とかしなくてはと思いながらもダルくて動けない
視界がぼんやりするし、思考もまとまらない
とそんな時ーーーーノックの音が響いた

京太郎「はぃ……?」

久「須賀く~ん、失礼するわよ」

照「お邪魔します、京太郎くん」

京太郎「ッ!ーーーーぶふっ!は?え?部長に、照さんも!?ごほっごほっ
!」

おもわずむせる
それに誘発されたように咳もマスクごしにでるわでるわ
だが仕方ないでしょ、大学一年目と麻雀プロ一年目の忙しいはずであるお姉さん方が同時に俺の部屋に現れたのだから

久「あらら重症ね、冷えピタ買ってきたから替えたげるわ」

照「水分補給もしっかりしなきゃ、このスポーツドリンクを……」

京太郎「ど、どうも……」

熱でまとまらない頭では、今の状況に困惑するばかりでまともに考えることさえできない
だからとにかく落ち着くために、お二方の好意を受けることにした
新しい冷えピタで熱が和らいだし、スポーツドリンクは身体に染み渡る
……少し落ち着いた

京太郎「えっと……どうしてお二方が?」

久「私はまこ経由で聞いて、部の皆の代わりにね」

照「私は咲経由、たまたま長野に帰ってたから」

京太郎「な、なるほど……」

そうだよな、少し冷静になれば思い出せてきた
部長……久さんは長野住まいだし、照さんは一昨日辺りに咲のやつが里帰りしてると話してたわ
……しかし

京太郎「お見舞いは嬉しいですけど、お二人とも忙しい身ですし、うつる可能性がある以上ここにいない方が……」

俺が心配してそう言うと、久さんは肩をすくめ、照さんは微笑んだ

久「客観的に見れば最もな意見だとは思うけど、過去貴方に借りがいっぱいあるからね」

照「私も咲との事で沢山お世話になった、そのお礼がしたかったの」

……“部長”、俺は別に借りなんて思ってないのに
そして照さん、俺がやったことなんて全然大したことないのに
そもそも俺がやりたくてやった事だしーーーー

久「だから改めて言うわ、須賀くん」

照「京太郎くん」

『助けてくれて、ありがとう』

ーーーーなどと、俺が頭でそう思ってても、お二人にとっては借りだと思えるような事だったわけだ
なら自分なりに頑張った甲斐があるかな、こうやって美人二人に笑顔でお礼を言ってもらえたわけだし

京太郎「どういたしまして……」

俺が今できる精一杯の笑顔で返事をした
その後お二人から看病に託つけて甘やかされながら、滅茶苦茶幸せのまま眠った

なお風邪が治って部活に復帰してから、清澄の皆がいつも以上に優しかったのは多分気のせいじゃないと思う

カンッ!

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最終更新:2019年03月11日 01:13