蜃気楼のように人が消える、そんなこと想像したこともなかった。

誠「ん? そこの席は前から空いてたろ。というか宮永が話しかけてくるなんて珍しいな」

クラスメートの悪友も、

久「須賀京太郎? 名前調べたけどうちの生徒にはいなかったわよ」

色んな雑務を丸投げしていた部長も、

まこ「疲れとるんじゃないか、咲?」

みんなに平等な染谷先輩も、

和「そんなオカルトありえません。咲さんが来るまで麻雀部は4人でしたよ」

時々麻雀を教えていた和ちゃんも

優希「うん? タコスなら自分で作ってるじぇ」

手作りタコスを喜んでいた優希ちゃんも、
誰も覚えていなかった。それどころか、私の持っていた写真にすら写っていない。

あれは夢だったのかと、本当は妄想の産物だったのかと自分を疑う日々は過ぎインターハイの会場で
見つけた。見間違うはずのない優し気な金髪の男の子。

咲「京ちゃ」

伸ばした手は空を切り、彼は何でもないように私の隣をすり抜けて、

京太郎「おいこら淡、ミーティングだって言ってたろ。菫先輩怒ってたぞ」

淡「うえ~、別にいーじゃん、どこ相手でもこの淡ちゃんがいればらくしょーだって」

知らないダレカに楽しそうに話しかけていた。

ソノバショハ、カレノトナリハ……

咲「あはは、いいよ。それなら世界ごと壊して、奪い返す」(ゴワッ

何度もくりかえすセカイの中で悪魔が産声を上げた。


カン

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最終更新:2019年03月11日 01:13