京太郎「……ハギヨシさん」

ハギヨシ「……何ですか?京太郎君」

京太郎「俺達の評判知ってますか?」

ハギヨシ「……少々」

京太郎「インターハイが終わって少しは落ち着くと思ったんですが……ダメでしたよ」

ハギヨシ「女性の皆様には申し訳ありませんが私共はそんな関係ではないのですがね。純粋な師弟関係なのですが」

京太郎「風評被害もいいところですよ。どうして一緒に行動するだけで恋人とおもわれるんだ!それで、何か対策はありませんかね」

ハギヨシ「異性の恋人でも作れば何とかなりそうなのですが……アテはありますか?」


京太郎「アテ……まぁ、同じ部活の女の子で2人ほどは脈ありかもしれませんね」

京太郎「でも、片方は俺を犬呼ばわり、片方とは幼馴染なのに最近、レズに目覚めかけてます」

ハギヨシ「……それは難儀な。それから選ぶと言うのも酷な話ですね」

京太郎「ですよねぇ。あっ、ハギヨシさんの方はどうなんですか?屋敷に務めているならお嬢様との禁断の恋とかは……」

ハギヨシ「京太郎君。現実とフィクションは違うのですよ。お嬢様はあくまでも雇用主、決して恋愛になど発展しません」

京太郎「そうですか。じゃあ、メイドさんとの職場恋愛なんかは」

ハギヨシ「もちろん有りません。そもそもメイドの平均年齢が低過ぎます。正直、私1人で屋敷を回すのは大変辛いです」


京太郎「それはお気の毒に……同年代のメイドさんはいないということですか?」

ハギヨシ「その通りです。まったく!高校生をメイドとして雇うなんてお嬢様もワガママが過ぎる!」

京太郎「龍門渕さんの家族は何も言わないんですね」

ハギヨシ「はい。衣様の一件から屋敷の事については一切の口出しをしなくなりました」

ハギヨシ「これがもう……いけない。少々愚痴っぽくなりました」

京太郎「お疲れ様です。それじゃあ風評被害対策について改めて考えますか」

ハギヨシ「そうしましょう。やはり、恋人を作るのが1番なのですが……」

ハギヨシ「自分好みの女性が周りにいない以上はどうしようもありませんね」

京太郎「うーん……。あ!周りにいないのなら遠出すればいいじゃないですか!」

ハギヨシ「遠出ですか?私共は執事の技能を使えば簡単に全国を回れますが……」

ハギヨシ「流石に見ず知らずの女性をナンパするというのには抵抗がありますね」

京太郎「そうですか?俺はそこまで抵抗無いんですけど」

ハギヨシ「いけませんね。自分を想う女性を置いてナンパに走るなど男の風上に置ません」

京太郎「……犬呼ばわりのタコス財布役と好きだった同級生からの殺意を受け続けるの何方が好みですか?」

ハギヨシ「…………私の配慮が足りませんでした。すいません」

京太郎「ハギヨシさんだってホモ疑惑は嫌でしょう?」

京太郎「それに、噂が本格的に広まれば龍門渕さんも風評を考えて貴方を解雇するかもしれない」

ハギヨシ「やはり、恋人を見つけるしかないようですね」


京太郎「その通りです!では先ず何処に行きましょうか」

ハギヨシ「そうですね。なるべくなら顔を知っている方がいる場所イイでしょう」

ハギヨシ「ただでさえ人なりを知らないのに顔まで知らないとなったら……」

京太郎「成る程。まぁ、何方にしろハギヨシさんの顔と執事スキルがあればどんな女性でもころっと落ちますよ」

ハギヨシ「有難うございます。京太郎君も私の教えられる全てを修得したのですから心配はいりません」

ハギヨシ「顔だって同級生が惚れるほどなのですから」

京太郎「そこまで言われると照れますね。顔を知っている女性というと全国大会に出ていた人、でいいですか?」

ハギヨシ「まぁ、噂の広まりからして全国大会に出ていた女性で私達を知らないという方はいないでしょう。それでいいです」

京太郎「では岩手に行きましょう!宮守は全体的なレベルが他とはダンチです!」

ハギヨシ「ほう、姉帯選手はあの身長ながら小動物のような仕草に心惹かれますね」

京太郎「臼沢さんはエロい。エロい」

ハギヨシ「…………はい。鹿倉選手は小さい愛くるしさの中に生真面目さのスパイスがイイ」

京太郎「ウィッシュアートさんは外人ならではの美しさに溢れています。大天使ですね」

ハギヨシ「小瀬川選手はダルいと言いながらも均整の取れた身体と養いと思わせるオーラが素晴らしい」

京太郎「異議なしですね。それでは宮守に行きましょう!」

ハギヨシ「素敵滅法!」



宮守にて

京太郎「宮守に着いたぞ!」

ハギヨシ「あまり言いたくはありませんが
…………何もないですね」

京太郎「はい。女子校が有るとは思えない立地ですよ。合併した方がイイと想うんですが……話題が逸れました」

ハギヨシ「それでは宮守女子に行きましょうか。……あ、彼女達は既に麻雀部を辞めているかもしれませんね」

京太郎「あぁ!それを忘れてた……どうしましょうか」

ハギヨシ「こういう時は……」

豊音「あの~……道に迷われたっちゃったの?」

豊音「近くなら案内するよ?」

京太郎(来ましたよハギヨシさん。メインターゲットが!)

ハギヨシ(はい。素晴らしい運命力です。落としにかかるのもイイかもしれません)

京太郎(どっちが行きますか?)

ハギヨシ(ここは京太郎君に任せます。同年代と喋る方が親しみやすいでしょう)

京太郎(了解)「え、えっと!宮守女子に用があるのですか!」

豊音「アハハ!私に聞いてどうするのー?宮守女子に行きたいんだね?任せてー」

京太郎「有難うございます!いやぁ、こんな美人さんに助けてもらえるなんてついてるなぁ」

豊音「う、嬉しいよー!こんな身長だからみんな怖がって……そんな事言ってもらえたの初めてだよー!」グスン

ハギヨシ(ナイスです京太郎君。慣れてますね)


京太郎(こ、こんな簡単に喜んでもらえる文句じゃあないんですが……普通何回も重ねがけしてやっとですよ!?)

ハギヨシ(それだけ異性に飢えていたのか、単純に感情が表に出やすいのか判断に困りますねぇ)

京太郎「泣かないでください。可愛い顔が勿体ないですよ?これ、どうぞ」ハンカチ

豊音「ありがとうー!褒められて嬉しいよ!」ズビーズビー

京太郎(……)

ハギヨシ(……後者ですね)

豊音「そういえば自己紹介がまだだったね!私は姉帯豊音です!宮守女子の3年生です!」ハンカチカエシ

京太郎「俺は須賀京太郎です。長野から旅行で来ました。こちらは友人の萩原さんです」

ハギヨシ「どうもよろしくお願いします」

豊音「よろしくお願いします!私のことは豊音でいいよー。姉帯じゃ呼びにくいからね」

京太郎「分かりました豊音さん。あのぉ……実は宮守女子まで案内してもらわなくても大丈夫そうです」

豊音「え……なんで……やっぱり私といるの嫌だった……?」ウルウル

京太郎「いえ!違いますよ!実は俺、豊音さんのファンなんです!インターハイでの打ち筋を見て好きになったんです!」

ハギヨシ(呼吸のように嘘をつきますね)

豊音「え……えぇ!?わ、私のファン?そ、それに好きって……///」

京太郎「勿論ファンとしての好き、ですが。さすがに初対面の人に告白するほど軟派じゃあないですよ」


ハギヨシ(やはり、落とすのですか?ここで決めてしまっていいのですか?)

京太郎(いいです。あの仕草を見て恋に落ちない人なんていませんよ)

京太郎(守ってあげたくなります。正直、既に彼氏がいると思っていたのですが……ここが田舎で良かった)

ハギヨシ(一目惚れですか?遠距離恋愛は苦労しますよ?)

京太郎(その為の素敵滅法です)

ハギヨシ(成る程。では私は背景になっていますので後はお若い2人で……)スゥ…

豊音「そ、そうだよね!告白なんてされたことないから勘違いしちゃった…」シュン

京太郎「いえいえ、豊音さんほど素敵な女性だったら即プロポーズしてもイイぐらいですよ」

京太郎「むしろ今まで告白されたことないのが驚きです!」

豊音「…………私、山奥の村から来たから……友達が出来たのも最近なんだー……」

京太郎「それなら!もっと攻めて行きましょう!豊音さんならきっと出来ますって!」


豊音「そ、そんなこと分かってるよー!でも、こんな身長じゃ誰も近づいてくれないし……」

豊音「京太郎君達にだって話しかけるのに凄い緊張したんだよ?逃げられるんじゃないかーって」

京太郎「でも俺達は逃げませんでしたよ

京太郎「豊音さんは身長に似合わず可愛いんですからもっとアピールすればきっと皆から近づいてくれるようになりますよ!」

豊音「ほんとー?」

京太郎「はい!」

豊音「友達になってくださいって言ったら必ず友達できる?」

京太郎「はい!絶対できます」

豊音「身長怖がられない?」

京太郎「は、はい!」

豊音「サイン下さいって言ったら貰える?」

京太郎「はい!断る人はいないと思います!」


豊音「麻雀で勝てるようになる?」

京太郎「はい!少なくとも俺よりは強いです!」

豊音「好きって言ったらオッケーしてもらえる?」

京太郎「はい!絶対断る人はいないと思います!」

豊音「そこまで自信を持って言われると何だか勇気が湧いてくるよー!」

京太郎「それは何よりです。可愛いんですから自信を持って!誰も怖がりませんから!……多分」

豊音「今更それはないよー……」グスン

京太郎「じ、冗談ですから!泣かないで!ハンカチ!」

豊音「ありがとー。やっぱり怖がられるのは嫌だよー」ズビーズビーチーン

京太郎「俺だって地毛なのに金髪に染めてるって怖がられますよ?堂々としていればいいんです!」


豊音「私が堂々としてたら誰も近づかないよー…」グスンズビーチーン

京太郎「だ、大丈夫ですよ。少なくとも宮守の友達の皆さんは近づいてくれますよ。あと、俺も」

豊音「そう言ってくれると嬉しいよー!宮守の人以外だと皆余所余所しくて仲間外れにされてるみたいで…」

京太郎「自分で予防線張ってたら相手が仲良くしようとしても仲良くなれませんよ?」

豊音「そ、そうなの?だから永水の人達と海水浴行った時に……」ブツブツ

京太郎「だから安心して俺と仲良くしてくれてもいいんですよ!」

豊音「そ、そうだね!折角知り合ったんだから末長くお付き合いしたいな!」


京太郎(言葉が思わせぶり過ぎる……やっぱ脈有りか?)

京太郎(いやしかし、ただの友達感覚……かもしれない。プロポーズ成功するか?いやまて、初対面だぞ。普通無理だ)

豊音「じっとしてどうしたのー?もしかして具合悪いの!?」ガシッ

京太郎「いえ!違いますよ!だから離してください!」

豊音「あっ……ごめんね…私みたいなのに触られるの嫌だよね……」

京太郎「だから!そう!卑屈に!ならないで!ください!」

豊音「ひっ!……ご、ごめんなさい……うぅ…ぅ…………グスッ………うえーん!!!」オンナノコスワリ

京太郎「あぁ!ごめんなさい!ごめんなさい!泣かせるつもりはなかったんです!」

京太郎「土下座でも何でもしますから!!泣き止んでください!!」


豊音「ぅ………グス…え、えっとね。これからも……こうやって…話したりしてくれたら……うぅ………嬉しいかなー……って」

京太郎「勿論です!呼ばれればいつでも何処でもこの須賀京太郎駆けつけますよ!」

京太郎「実は長野から岩手まで1秒かかってないんです!」

豊音「あはは、嘘はいけないよー?でも嬉しいな。今日は嬉しいって何回も言ってるね。こんな日は初めてかもー!」

京太郎「豊音さんと会えて俺も嬉しいですよ。あ、メルアド交換しませんか?これならいつでも話せますし」

豊音「ほんとー?やったー!これで6人目だよー!初めての男の子だよー!」

京太郎「…………お、おめでとうございます」


豊音「話してる間に夕方になっちゃったねー」

京太郎「楽しい時間はあっという間ですね。今日は本当に楽しかったです」

豊音「うんうん!私はいっぱい勇気を貰ったよ!有難うね京太郎君。これは……お礼だよっ」ダキッ

京太郎「!?!?な、ナニシテルンデスカ」

豊音「テレビでね、男の子にお礼をする時はこうすると喜ぶってやってんだよー?ね?嬉しい?」

京太郎(胸がちょうど顔に……イイッ)

京太郎「えっと……嬉しいのは確かなんですが……俺以外の男にはこれやらないでください。気があるって思われますよ」

豊音「……知ってるよ。テレビでも好きな男の人にやると喜ばれるって話だったんだから」

京太郎「え?それって……」

豊音「私が告白したら絶対断る人いないって言ったよねー?」

京太郎「は、はい!」

豊音「好きです!付き合ってください!!」

京太郎「はい!!末長くよろしくお願いします!!」

豊音「う……うぅ……嬉しいよー!でも……私重いよ?身長大きいよ?怖いよ?病んじゃうよ?それでもいいの?」

京太郎「もちろんばっちこいですよ!」

京太郎「豊音さんみたいな可愛いくて美人な人と付き合えるなら手錠でも監禁でもなんでもオッケーです!」

豊音「そこまではしないよー……でも、ありがとね」

京太郎「どういたしまして」

豊音「じゃあ私の家行こっか!歓迎してあげるっ!」

京太郎「喜んで!」


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最終更新:2020年07月04日 09:08