後輩がうざい。
後輩と言っても同い年なのだが、団体に入った年を考えれば此方の方が早いので後輩だ。
そんな後輩がうざい。
例えば――
「おっす。今から飯か? それなら一緒に行こうぜ。最近、美味しいうどん屋見つけてさ」
「……奢りならいいよ」
「うっし!デートだな!」
「ご飯を奢ってもらうだけだし」
見かけるたびに言えばご飯を奢ってくれる。
こちらはタイトルを持ち、賞金ランキング上位者とわかっている上でもだ。
他にも――
「もう!しゃがんでって見えない!」
「おぉ、わりぃ……気付かなかった」
「わわわっ!肩車しろってことじゃなくて!」
「あっはっは!」
こっちの身長は幼い頃から止まっているというのに後輩は無駄に図体がでかいし。
「……何でいつも頭を撫でるわけ?」
「え?あー……丁度いい所に頭があるからかな」
「それはつまり小さいってこと?」
「撫でやすい」
「喧嘩なら特別に安く買ってあげる」
会えば挨拶代わりに頭を撫でてくるし。
「玉の輿?ふーん……」
「言いたいことあるなら聞いてあげるけど」
「まずは身長を伸ばさないとな!あと胸も」
「セクハラで訴えるよ」
更にデリカシーもないし。
「……」
「……」
嫌な事があり、落ち込んでいれば何も言わずに側によってきて背中を貸してくれるし。
「おかしくない?」
「何が?」
「何で同期の連中ばかり強い人が集まってるのさ!」
「あー……」
「日本なら楽に上を獲れると思ってたのに」
「やり合える時点で俺よりはましだろ。この間の大会の俺の評価がどんなのか知ってるか?」
「サンドバック」
愚痴りたいとき、飲みに付き合ってくれるし。
「う゛ー」
「よー……風邪ひいたらしいな。これ食べ物と薬」
風邪をひけばお見舞いにやって来るし。
「病気で一人の時って寂しいものな」
「うぅ……ぐすん」
ついでに側に居てご飯を作ってくれる。
「おめでとう」
「おぉ!やったぜ、どうにか優勝出来たわ」
「というか、全局で相手の当たり牌を抱え込み続けるとか理解不能なんだけど」
「振り込めとばかりに当たり牌ばっかり引くんだよ」
運もなければオカルトもない。
それでも格上の相手に折れずに挑み続けてるし。
「ネリー、どっか食いに行こうぜ」
「いいけどキョータローの奢りだよ?」
「OK、OK。デートだ、デート」
「はぁ……簡単に言ってくれるよね」
「何か言ったか?」
「キョータローがうざいって」
「あっはっは。ひでぇな」
気を使うことが得意なくせに、肝心な所だけは鈍感。
人の気持ちを勝手にかき回す後輩は今日もうざい。
後輩がうざい先輩の話 カンッ!
最終更新:2019年03月11日 01:35