VRアプリ『京ちゃんと一緒』β版、染谷まこの場合

まこ「お前さん、仕様はどうなっとるんじゃ?」

『というと?』

まこ「わしらとの関係は現実基準としても、正式リリースになったら何の関係もない女子に配布されるんじゃろ?
   その辺りどうなるのかと思ってな」

『そこは設定できるようにするらしいですよ。幼馴染とか部活の後輩とかクラスメートとか。
 その辺のデータ取りも兼ねてβ版の俺ってことだそうです』

まこ「……それ、お前さんに話した内容が漏れるって意味か?」

『あはは、さすがにその辺は守りますよ。じゃないと盗聴で犯罪ですからね』

まこ「ほっとしたわい。恥ずか死ぬやからが出かねんからの」

『なので安心して口説いていいんですよ?』

まこ「その手のは和にでもいいんさい。お前さんの本命はそっちじゃろ」

『確かに和は好みですけど、俺染谷先輩のことも結構好きですよ』

まこ「なっ、からかっとうんか」

『リアルの方の俺でも染谷先輩への好感度は咲並みにはありますよ。料理上手いし面倒見いいし』

まこ「お、お前さんが攻略されるゲームじゃろこれ。なんでそんなぐいぐい来るんじゃ!」

『え、だって染谷先輩って自分の魅力に無頓着で過小評価するじゃないですか。だからそんなことないですよーって』

まこ「お前さんは、もう。わしは京太郎争いに参戦する気はないんじゃ」

『はっきり振られると寂しいんですけど』

まこ「今から行ったらあいつらに合わせる顔がなくなるわ。でも、まあ」

『?』

まこ「現実に影響しないお前さんの方なら、考えなくも……」

『あ、じゃあ染谷先輩の卵焼き食いたいです。あれ凄く旨いんですよね』

まこ「女たらしの素質でもあるんか、お前さんは?」

『え、本心ですけど』

まこ「そういうとこがじゃな、もうええわい。あいつらの前では先輩と後輩じゃぞ」

『うっす、秘密ってことですね。了解です』

何気なく幼馴染をお姫様扱いする男の軽さと面倒見の良さは、異性からの好意に慣れてない女には割と致命打であった
今は周囲を気遣う彼女がそれ以上に本物を求めるか、それは今の段階では誰にも分からない。彼女本人ですらも


カン

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最終更新:2019年03月11日 01:37