インターネットで知り合った男の子と顔を合わせたとき、不意に感じたときめき。
寒がりの自分に怪訝な顔もせず、心配してくれるような優しい男の子。
不用心に抱き着き、暖を求める私を嗜めながらも、抱き返してくれた男の子。
彼を想うだけで暖かくなれたし、彼が私の知らない誰かと結ばれると考えるだけで心は凍てついた。

───だから、私は。

インターネットで知り合ったおもち美少女。
顔を合わせた時に、一目で尋常ではないと思ったけど、奇妙だとかではなく、守ってあげたいと思わせられた美少女。
儚そうで、部では役に立てなかった俺に甘え、甘やかしてくれた女性。
ふと、彼女が誰かに抱かれる姿を想像したときに抱いた、締付けるような悔しさと哀しみ。

───だから、俺は。

清澄での居場所を失い、清澄を辞めて、姿を眩ませた少年がいた。
彼のことを知り、居場所になろうとし、そして彼に自分の居場所を求めた美少女がいた。
俗に、共依存と呼ばれる関係の二人は、やがて抜け出せない泥沼に喉元まで沈んでいくのだが。
傍目には、若いながらも深く愛し合う幸福なカップルに見えたという。

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最終更新:2019年10月09日 10:00