最初に出会ったのは、ネト麻。
毎日毎日マッチングしたけど、弱いままで。
それでも頑張ろうという姿勢が見えたのは、好印象だったと思う。
ふと気になって、二人きりで会おうって約束したの。
彼──須賀京太郎君と初めて会ったとき、驚いたのを覚えてるの。
私をプロと知ってても、変に気遣いしたりしない物腰の柔らかな男の子。
全国大会に出場した高校の、たった一人の男子部員だっていうイケメンくん。
彼の悩み相談と、麻雀の勉強、連絡先の交換をして、それだけで一日が過ぎるぐらいに楽しい時間だったの。
それからは、毎日のように連絡を取り合って、次はいつ会おう、いつ会おうって。
プロだから地方や別の都道府県に泊まることもあるけど、連絡だけは欠かさなくて。
でも、京太郎くんの心が弱っているのは分かっていたから、不安と期待で心が満たされた。
京太郎くんは、きっと弱い子だから。
強いフリをしているだけの、気遣い屋さん。
そのフリの限界が来たとき、京太郎くんが私を頼ってくれるといいなという期待。
別の誰かだとどうしようという不安。
果たして──不安は杞憂に終わり、京太郎くんは私に依存してくれた。
孤独、それを吐き出せない苦しみ、痛み。
私だけに打ち明けて、そのまま泣いてしまった京太郎くんを、愛おしいと思ったの。
自分よりずっと大きな京太郎くんを抱き締めて、撫でて、慰めてあげて。
私なら受け止めて上げられる、私なら君を愛してあげられる、私には君が必要なの。
なんて卑怯な言葉。
弱った心に毒を流し込み、私だけに依存させる──麻薬のような言葉。
それでも、京太郎くんが愛おしくて、守ってあげたくて──私色に染めたくて。
二人きりの一夜を過ごした私達は、恋人になって、一緒に暮らしたいと話すようになった。
ああ───だから、ダメだよ?
私の旦那様に、今更優しくしようなんて。
悪いのは、私の京太郎くんを蔑ろにした貴女たちなんだから。
京太郎くんの手も、口も、指も、愛も、全部私だけのもの。
邪魔は、許さないからね───♪
最終更新:2019年10月09日 10:04