淡「キョータロー、おかず!」

京太郎「しょうがねえな」

鳥のヒナのように口を開けて待つ淡の口の中に甘い卵焼きを放り込んでやる。

淡「んー、おいしー♪予は満足じゃ、良きに計らえ!」

京太郎「へいへい、姫に満足いただいて光栄の極みにございますことよ」

会心の出来の卵焼きを口に頬張りながら、これまた会心の笑顔を向けてくる彼女に微笑みを返し、俺たちの昼食会は過ぎていく。
お互いに腹も膨れ、口数も少なくなると途端に眠気が襲ってくる。
午後の授業があるというのにこれではいかんと懸命に戦っていると突如膝に心地よい重みを感じた。

ぽすっ

京太郎「……お前なあ、昼飯食った後にすぐ寝ると牛になるぞ」

淡「いいもーん、寝る子は育つって言うじゃーん?」

にへへー、と小悪魔的な笑顔を向け春先とは比べ物にならないぐらいに育った胸部を強調するかのように見せつける。
……これ以上育ってどうする気だ。

淡「キョータローだっておっきいほうが嬉しいんでしょ?」

京太郎「お前それどこで聞いたんだよ」

淡「サキとかユーキから」

……あの二人には余計なこと言わないように一度釘を刺しとかないと……。
今後の対策を頭の中で練っていると膝上からすぅすぅと静かな寝息が聞こえてきた。

淡「……すぅー、すぅー……、……キョータロー……、ずっと……一緒に……いようね……」

晩秋の涼風が赤面して火照った顔に丁度いい。こういった幸せを噛みしめる時間も悪くない、と瞼を閉じ思った。

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最終更新:2019年10月09日 10:05