20xx年冬、世間をとあるニュースが駆け抜けた!
一夫多妻制の施行──
女性雀士に代表されるオカルト持ちと呼ばれる女性たちの晩婚化、彼女たちが社会の第一線を退くことでのマイナス。
晩婚ゆえの出産への敬遠など、様々な問題が密かに語られていたことから、遂に与党の英断を以て施行に踏み切られた、新たな秩序。
だが、問題が無くなったわけではない。
第一に、誰が肩身の狭くなるであろう『一夫』に志願するであろうか。
社会的な成功を収め、その名を響かせる女傑たちに追随出来る男がどれだけいることか。
ならばと、一夫多妻制度の施行に併せ、政府は一文を追加する。
──一夫多妻制度を用いて婚姻を望む場合、男性・女性共に婚姻可能な年齢を引き下げ、政府より資金援助を行う。
その一文が足されて間もなく、一人の少年と四名の少女が一夫多妻制度の申請を行った。
如何にも軽そうな少年・須賀京太郎。
彼の傍らで嬉しそうに笑む美女・松実宥。
松実宥の妹で、一夫多妻制度申請の発起人でもある松実玄。
この姉妹の旧友である、高鴨穏乃と新子憧。
元より男女でありながら、奇妙な友情を築いていた須賀京太郎と松実玄が、交際の懸念材料であった松実宥を言葉巧みに抱き込み、淡い恋心を実らせる為に穏乃が参加し、彼女らの監督役として憧が入って。
なんということか。
稀代の美少女と呼んで差し支えない四名を娶る英断を下した少年に、政府は悪魔の囁きを齎す。
──君には、あと三名の妻を迎える権利がある。
──今すぐとは言わない。強要もしない。だが。
ただの優男と考えられていた須賀京太郎の優良物件ぶりは瞬く間に知られることとなる。
──これは、三席残る正妻の座を競う女たちと──
──その傍らで、幸せに満ちた新婚生活を満喫する五人の物語である──
最終更新:2019年10月09日 10:12