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京太郎(ふっふーん、今日も一つ、咲をからかってやるか!)
【図書室】
京「よっ、図書委員さん」

咲「あれ、京ちゃん。珍しいね、図書室に来るなんて」

京「まぁな。でも全然人居ないな」

咲「テスト明けで勉強してる人もいないからね。こんなものだよ」

咲「それで京ちゃんはどうしたの。まさかここで勉強なんて言わないよね」

京「失敬な。まぁ勉強じゃないけどさ」

京「借りてた本返しに来たんだよ、ほら」

咲「京ちゃん本借りてたの。十分意外なんだけど…それも哲学書?」

咲「しかも借りたのが昨日?………京ちゃんホントにこれ読んだの?」

京「おうよ。ソクラテスとパラドクスが実存主義でアイデンティティよ」

咲「なんなんだか…まぁちゃんと返却してくれるならいいけど」

京「おう、頼むぜ」

咲「はい、ありがとうございました」

京「……………」

咲「……………」

京「……………」

咲「…え、なに京ちゃん。まだ何か用なの」

京「いや、その本、本棚に返しに行かないのかなーと思って」

咲「今私も本読んでるから後で返しとくよ」

京(まずい…)

京「えーとさ、その本は正直理解できなかったんだけどさ、小説とかでもいいから何かおススメあるか?」

咲「え…京ちゃん、もしかして読書に興味持ってくれたの?」

京「そうそう!だからそれ返すついでに手ごろな本教えてくれよ」

咲「しかたないなぁ、よいしょ」ガタッ

京(ふっ、嬉しそうに)

京「その本、一番奥の方にあったぜ」

咲「おススメする前に言っておくけど、図書館の本は大切に扱ってね。みんなの本なんだから」

咲「たとえば本を開いたまま伏せたり、飲食しながら読書したり、こんなの言語道断だからね」

咲「細かいこと言うとたくさん平積みにしたり、日光に長時間当てたり、本の取り出し方も背表紙のふちに指ひっかけるようなのは…」

京「咲さん、なんかゴキゲンっすね」

咲「…だって京ちゃん昔から私が本薦めてみても全然読んでくれなかったじゃん。だから…」

咲「それでやっぱり読書に慣れてない人は最後にどんでん返しがあって読後感がいいものを選んだほうがいいと思うのそれでいうとミステリとかがいいんだけどミステリにも社会派ミステリとか青春ミステリとかいろいろあって私としては」

京「おい咲、ここここ。この棚」

咲「あえ?ああ…一番上の棚かな」

京「脚立持ってこようか」

咲「うん、お願い」

京「ほい脚立」

咲「ありがと、それじゃちょっと支えててもら………」

京「…咲さん?」

咲「やっぱ京ちゃんが登って」

京「どうして」

咲「………スカートの中見えちゃうじゃん…」

京「ちっ、勘付かれたか」

咲「え?あっ京ちゃんもしかして最初から!」

京「おいおい図書室では静かにな図書委員サマ」

咲「っ…!!」パクパク

咲「……ないもん」

京「ん?」

咲「今は誰もいないもん!なんで京ちゃんはいつもそういうことするの!」

京「まぁまぁ咲、チラ見のひとつやふたつ…」

咲「違うよ!私が怒ってるのはそういうことじゃ」

京「おっおい咲そんな詰め寄るなって」

ゴスッ!

咲「いっ…!」

京(やっべ棚の本が崩れて咲に)

京「おい大丈夫か咲!」

咲「……京ちゃんが…悪いんだもん…」ジワ…

京「ちょ泣くな泣くな、それより頭見せてみろって」

咲「うん…」グスッ

京(あれ…なんだこのいい匂い…シャンプーか…?それに咲の髪サラサラで…)

京(つーか咲ってけっこう小さいな…俺の肩くらい…肩幅も狭くて華奢で…)

京(な…なんか…なんというか…)

京(抱きしめてやりたい…!)

咲「…京ちゃん?」

京「え、ああいやコブは出来てなさそうだけど…」

京「念のため保健室行こう、連れていくから」

咲「うん…ありがと」

京(まさか…まさか咲なんかに心揺さぶられるとは…)

【保健室】
京咲「ありがとうございました」


京「咲、ごめん。悪かった」

咲「コブも出来てなかったし痛みも消えたし、もういいよ」

京「それもだけど…それだけじゃなくて…お前の好きな読書でお前を釣るようなことして…」

咲「………読書っていいんだよ京ちゃん」

咲「楽しいものも、きれいなものも、もちろんそうじゃないものもだけど、それでも全部ひっくるめて大切なものがいつもそばに置いておけるんだから」

咲「えへへ…ちょっと恥ずかしいこと言っちゃったかな」

咲「でもあんまり子供っぽいことはもうやめてよね、私たちもう高校生なんだから。京ちゃん知らないでしょ、クラスの女子に須賀君って黙ってればイケるのにねーなんて言われてること。私は昔からの付き合いだからそうは」

京(いつもそばにある大切なもの、か…)

京「なあ咲」

咲「?」

京「俺、どうしても手に入れたい本があるんだ、今度こそ」

咲「え、なになに」

京「まだナイショだ」

咲「えーいいじゃん教えてくれたって」

京「いろいろ準備が要るんだっての」

咲「じゃあ代わりに向こう一カ月学食奢ってもらおうかな」

京「いい一カ月!?まぁしょうがないか…」

咲「あはは、冗談だよ京ちゃん、一日に負けてあげる」

カン

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最終更新:2019年10月09日 10:27