京太郎「さて、それじゃ――メリークリスマス!」

カンッ

えり「メリークリスマス……ふふっ」

子供みたいなやり取りに、笑いながらグラスを干す。

京太郎「んー、美味い!やっぱクリスマスは特別、って感じするなぁ」

えり「そうね……でも、良いの?その特別な日に、家に籠もってて」

街の喧噪も遠く、夜景を楽しむこともなく。

京太郎「いいんだよ……外出たら疲れるし」

えり「……おじさんみたいよ、あなた」

京太郎「いや、そういうのじゃなくてさ……なんか、去年も一昨年も、慌ただしかったから」

えり「あー……確かにね」

クリスマスはつい気分が高揚して、買い物にディナーに映画に……と色々回ってしまうのだ。

えり「……去年はあなたが遅刻しなければ、もう少し余裕もあったのに」

京太郎「まあ、そういうアクシデントも自分ちなら起こらないってことで」

えり「もうずっと一緒なんだから、待ち合わせの必要もないけどね?」

京太郎「……それに、「お家でクリスマス」は何気に初めてだろ?」

えり「……ま、いいか。たまにはそういうのも」

静かに、けれど楽しく、いつもと同じような料理を食べながら……クリスマスの夜は更けていく。

京太郎「――今年のプレゼントは、去年ほどは凄くないけど……」

えり「もう、それは食事が終わってからでしょ――大丈夫、あなたからの物ならなんだって嬉しいんだから」

ゆっくり、ゆっくりと。

たまにはこんなクリスマスも、良い物だと……。

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最終更新:2019年10月09日 10:29