「京太郎」

いつもは快活な少女が、おてんば娘なあいつが

「この中が気になるのか?」

スカートの裾を持ち、妖艶な雰囲気をかもちだしている。

「い、いや、別に興味なんて…」
「ほんとに?」

咄嗟に否定の言葉を上げるものの、すぐさま言葉を被せられる。

「もし、お前が望むのなら」

そう言うと彼女は手を少し上に動かし

「すぐにでも見ることができるんだじぇ?」

健康的な太ももがチラリと見える。
思わずつばを飲み込んでしまう。
もし、俺が一言、見たいと言うだけで、あの上を眺めることが…

目の前の少女は挑発的な笑みを浮かべ、彼の言葉を待っている。
頬にほんのり赤みがさして、まだかまだかと待ちわびている。

「お、俺は」

緊張のせいか口の中がカラカラに渇いている。舌がのどに張り付き、言葉を上手く紡げない。
なんて答えるのがいいのか、このまま欲望に任せてもいいのか、否定すべきなのか
いや、この少女はそういうつもりで聞いているのではないか、だったら肯定すべきでは…

頭の中を様々な思考が飛び交う、一瞬の出来事だが、何時間にも感じられる。

「み、みた…」

ようやく言葉を絞り出そうとしたその瞬間

「あれ?誰か居るの?」

ドアから急に声がする、慌てて振り向くと部長の姿が

「ちょうど今帰るとこだったんだじぇ!行くじぇ京太郎!」
「うおっ!?」

いきなり優希にグッと手を掴まれると、そのまま引っ張られ部室を後にする。
突然のことに文句の一つでも言おうとするが

「続きは今度な?」

グイっと耳元に近寄られ、ボソッとそう囁かれる。そうして少女は走り去っていった。
さてさて、残るは京太郎ただ一人。もう九月というのに、やけに暑く感じた。

カン

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2019年10月09日 10:38