~穏乃の場合~
ー阿知賀のみんなは本当に大好きな仲間たち。和や清澄のみんなもインターハイで知り合うことができた本当に大好きな友達。
そんな大切なみんなが、どうしていがみ合っているの?大好きな人同士、仲良くしてほしいのに……
須賀くんも凄く優しい、私や憧とも自然に接してくれて良い人だって分かってるから、そんな須賀くんを巡って喧嘩なんてする意味がぜんぜんわかんないよ……
誰が正しくて誰が間違ってるの?またみんな笑顔になって一緒に笑いあってほしいよ……

~憧の場合~

ー今すぐにでも言ってやりたい。玄さん達にも、和達にも、どっちも今のままじゃダメなんだって。
前を向いて一歩前に踏み出さなきゃダメなんだって。
玄さんも宥さんも、アイツを癒していると思っているけどいつの間にか自分達も一緒に優しいだけの牢獄に閉じ籠っちゃってるんだ。
和も宮永さん達も、もっと早くからアイツの手を掴んで目を真っ直ぐに見ながら本音洗いざらい言い合って、一緒に大泣きするべきだったんだ。
和から「私が間違ったせいで全てがボロボロで滅茶苦茶になっちゃいました」って何度も泣きながらかかってきた電話。
本当にどいつもこいつもバカみたいに不器用で、良い奴ばかりで、それなのにすれ違ってばかりで。

……でも、言うのが怖くて。
これ以上こいつらの誰かが傷つくのを見るのが怖い。アタシのせいで誰かが傷つくのが怖い。

……何より、アタシならきっとアイツを受け入れられる、アタシが恐いと思わないアイツをきちんと幸せにしてあげられる。
そんなふざけた想いがずっと頭から離れないまま、何もできないままのアタシが怖くて、情けない。

~優希の場合~

ー私は、無力だ。
のどちゃんに振られた京太郎に、何もしてやれなかった。
ずっと一緒にバカやって、笑い合って、時には助けてもらって……
のどちゃんに告白するって聞いて、頭の中で色んなものが崩れて真っ白になって……
振られて戻ってきた顔を見て、ごちゃごちゃの頭がさらに滅茶苦茶になって、何も言ってやれなくて……
京太郎が気づいたらいなくなっちゃって、少しずつみんなの様子がおかしくなっていって、それを感じたから何とかしなきゃ、って思ったら、

私が真っ先に壊れちゃったんだじぇ。

京太郎の大きくて暖かい手も、笑顔も、美味しいタコスも無くなったことが分かった途端、心の中ではっきりとパキッて音が聞こえて、毎晩寝るときに涙が止まらなくなっちゃった。
のどちゃんにも咲ちゃんにも、先輩達にも心配ばかりかけて本当に申し訳ないじょ……

京太郎が奈良で幸せそうに過ごしているって聞いて、止まりそうだった涙がまた出るようになっちゃったじぇ。
私にできなかったことを、あのとき会った私なんかよりずっと綺麗で女性らしいお姉さんたちがやってくれていると思うと、自分の無力さが情けなくて……
会いたいよ、京太郎……。会うのが怖いよ、京太郎……

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最終更新:2019年10月09日 10:48