人を好きになり、告白し、そして付き合う。人は皆、それを素晴らしいことだと言う。
だが、それは間違いである!
たとえ恋人同士であろうと、搾取する側とされる側、奉仕する側とされる側、勝者と敗者、に分かれるのである。
恋は戦争である。

ここに一人の乙女がいる。
原村和、15歳。才気煥発、容姿端麗、才色兼備、そんな清らかで美しい少女である。
彼女は麻雀におけるインターミドルの覇者であり、その美貌もあって全国クラスでの有名人。
その胸部装甲はとても去年まで中学生だったとは思えないほどであり、男子高校生の話題には度々出てくるほどである。
そんな彼女も色を知る歳、同じ麻雀部の同級生である須賀京太郎に恋をしている!
まあ、彼女にそれを確認したところで否定されるだけであろうが…それはさておき
そんな彼女が彼のことを好きになったのは…長くなるので割愛させてもらおう。
とにかく!彼のことが好きなのである!
じゃあ、告白しろよ早く、と皆さん思うかもしれない。しかしだしかし、そんなこと彼女のプライドが許さない!

(ま、まあ、別に告白されたら付き合ってあげてもいいですが…)

ご覧の有様である。
自分から告白する気だなんてさらさらない。それどころか、彼を想っていること自体を隠そうとしているのだ。

(須賀君のことですし、あと二週間でもしたら告白してくるはずです)

その二週間は何を根拠に言っているのだろうか、甚だ疑問である。
とはいえ、このような希望的観測をしてしまうのも仕方あるまい、話題の彼、須賀京太郎はかく語りき

「結婚するなら、お淑やかで家庭的な子がいいなぁ」
「やっぱ胸は大きい方が…」

ドンピシャである。
この条件、原村和にドンピシャである。
熱が入るとおかしくなることもあるが基本的にお淑やか、一通りの家事は難なくこなせる。そして…

(たまにチラチラと胸に目が行っていますし…)

胸は申し分ないほど大きい!同学年ではトップである自負もある。

これらを根拠に原村和は告白を待ち、そして

半年が過ぎた!!

(え、えーと、まだですかね…そろそろ屋上に呼び出されるイベントがあっても)

原村和、困惑。

夏が始まり、インハイが始まり、インハイが終わり、文化祭やら体育祭やらも終わり、ハロウィンもクリスマスも元旦も終わり、現在一月。
窓から見える木々はすでに枯れており、まるで自分の青春を暗示しているかの如く。
何をしていたんだ!?と皆様思うであろう。

何もしていなかったのだ。

厳密言うと、文化祭やら体育祭やらのイベントで何もしなかった訳ではない、彼と一緒には過ごした。他の部員も一緒に!
つまりはこういうことだ、部活のイベントの一環として一緒に過ごした。ただそれだけである。
その際に特にアプローチもせず、咲さんやゆーきとおしゃべりするだけで、ぬるま湯に浸かっていたのである。
そんな有様で告白されようだなんて、おこがましいにも程がある。

(も、もしかして、もう私に興味がないんじゃ…)

流石の原村和もこれには不安を抱き始める。
不安を抱くのが遅い。
普通であれば試合終了になっていてもおかしくない状況である。
だが!

「あー、彼女ほしー!」
「京ちゃんって中学からそれ言ってるよね」
「欲しいもんは欲しいんだよ!」

彼は幸運にもフリーである!
彼は高身長、運動神経抜群、コミュ強、顔立ちは整っている方、優しい、といったようにモテモテであってもおかしくないスペックである。
周りにいる女子高生もほっとかないはず…なのだが、どういう訳だが今のようなことを言ってる始末。

(須賀君はまだフリーみたいですね…決めました)

ようやく肚を括ったようだ。

(須賀君に…)

彼女も慢心を捨て、ついに次の段階に成長

(告白させてみせます!)

予想の斜め下を行った!根本的なところはどうやら変わっていないようである。

(さりげないアピールをしていって…なんとかして須賀君から告白を…)

さてはて、彼女の行く先はどうなることか…


『のどか様は告らせたい』近日公開、しない!

カン!

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最終更新:2019年10月09日 10:49