私には幼馴染がいる。迷子で泣きそうになった時に手を引いてくれた小さな背中
待ち合わせるでもなく公園で何度も会い一緒に遊んだ

家で嫌なことがあって泣きそうなときも傍にいてくれた
たぶんそれが私の初恋。自覚のない胸を焦がす炎

会えない時も思い出せば力が湧いた。その時間があなたの大切さを教えてくれた
忘れたことなんてない、大事で大事な、一番の思い出

なのにどうして、どうして妹(咲)が今隣にいるの?
幼馴染だなんて呼んでるの?
それは私の、私だけのものだったのに。ずっとずっと支えだったのに。

彼の優しい声は、暖かな手は、輝く笑顔は私に向けられたものと何も変わらず
だからこそ許せない。向けられるその想いは私が受け取るものだったのに
咲(妹)がなり代わっている、カッコウのように私を追い落として

その呼び方は「京ちゃん」という響きは私だけの特権だったのに
その声で呼ぶな、その声に応えないで、私を見て欲しいというただそれだけの願いが叶えられない

ああ、ああ。ならせめてあなた(咲)の大事なものを滅茶苦茶にしよう
築いた繫がりを掠め取った報いを受けさせる
そうじゃないとこの想いに行き場はないから

私にはあなただけでよかったのに、京ちゃん

カン

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最終更新:2019年10月09日 10:50