憧「なによアンタ、どうして男子がこんなとこにいるわけっ!?」
阿知賀の控室の近くの角で金髪の少年が佇んでいるのを発見した新子憧は自分が男を苦手にしているというのもあって叫ぶ。
穏乃「どったの憧? って、京太郎じゃん!」
その声に親友である高鴨穏乃はひょこんと覗き込んで、視認すると同時にタックルをかます。
思いっきりみぞおちに打撃を受けた京太郎は「ぐふぅ」と悶絶。
憧「え、なに? シズの知り合い?」
穏乃「いやー、ちょちょっと長野の山まで行っちゃったんだけどお金の補充忘れててさ、困ってたら奈良まで送ってくれたんだよ」
京太郎「車で送ったのは親父だけどな」
憧「長野まで徒歩!? なにやってんのよアンタ?」
幼馴染兼親友が改めて規格外であることを思い出した憧は頭痛に苛まれる。
玄「それでね、お礼にうちの旅館に泊まっていってもらったんだー。京太郎くん、おはよ」
京太郎「あ、ちわっす玄さん」
玄「うんうん、おもち道は順調かな?」
京太郎「いやー、未だ精進の身でして」
灼「なに言ってるのこの人」
気安く話しかけるのが旅館の娘松実玄、ヘンテコ会話にジト目を送るのが阿知賀麻雀部の部長の鷺森灼
宥「実は玄ちゃんがおもちの素晴らしさについて延々と話してたら感化されちゃって……」
妹のかつての所業に悔いる声を出したのが松実旅館の長女、常にマフラー装備の松実宥。
憧「突っ込みが追い付かないわねこれ」
額を抑える憧を置いてけぼりにして話は勝手に進む。
穏乃「思わぬ再会をしたわけだしラーメン食べに行こうよラーメンっ!」
玄「当然私も行くのです」
宥「ラーメンは温かいからいいよね」
灼「巻き込まれるよか」
憧「ちょ、勝手に行かないでよ! ああもう、私も!」
京太郎「やー、様子見に来たけど結果的に良かった感じだなこれ」
わいわいと騒ぎつつ親睦を深める中、ただ一人男を警戒していた新子憧はラーメン屋を後にする頃には心を開いていた。
カピーという名のカピバラの写真は万能のコミュニケーションアイテムなのかもしれない。
カン
最終更新:2019年10月09日 10:50