春になり、二年生になった
ここ最近は桜が満開で、心地よい陽気である
区切りの時期だ、そう考えるとあのことを思い出す

去年の夏の終わり、部活をやめようとしたこと

結果としては、部活をやめなくて本当に良かったと思う
この半年強で麻雀はかなり上手くなったし、なにより仲良くなれた

優希とは一緒に遊びに行ったり、バカみたいなことで笑いあったりした
和とも一緒に遊ぶようになり、ラーメン屋に連れて行ったりした
まこさんとは色々と相談に乗ってくれて、辛い時には支えてくれた
ぶちょ…久さんは推薦で早めに受験が終わったらしいので、麻雀の勉強に付き合ってくれた
咲はよく一緒にいてくれた、教えるのが苦手なのにも関わらず、必死に教えようとしてくれて嬉しかった

あのときのような感覚はもうない、俺も部活の一員だ

麻雀に関しては、なんと一位を取れるようになった!
まあ、手加減してくれてるんだろうけど、それでも嬉しいものは嬉しい

ただ、向き合わないといけないものがある

あの時の、部活をやめようとしたときの、あの感覚

思い出すだけでも鼓動が速くなる、呼吸が苦しくなり、頭がグラグラする
あの感覚、空気感、あの場には確かにナニカがあった

できるのあれば、あれを忘れてしまいたい、なかったことにしてしまいたい
しかし、何かがひっかかる、あれを無視したままだと、取り返しのつかないことになりそうな気が

…今日は4月1日だ、噓が許される日
一回だけ、そう、もう一回だけ言ってみよう
彼女たちを悲しませたくはないし、たとえ嘘でもやめるなんて言いたくない
だが、あのことを無視して進んだら危険な気がする、なにか重大なことを見落としているような
だから、ほんの一回だけやってみよう、すぐに撤回すればいい、大事にはならないはずだ、大丈夫だ

「まこさん」

部室でそう言葉を発する

「ん?なんじゃ?」

少しだけ顔をこちらに向け、こっちを軽く見る、いつも通りの反応だ
他の皆は特に気にするせず、思い思いのことをやっている

「今日をもって部活をやめます」

言った、言ってしまった

「そうか」

まこさんは残念そうにそう呟く、あのときとは違う反応だ
だが、この感覚は、この空気感は、まさしくあのときと…

「京ちゃん」

後ろから声をかけられる、この声は咲のだ
それと同時に、スッと後ろから誰かに抱きつかれる、背中に当たるこの感覚は…

「京太郎君、どうしてですか?どうしてそんなことを言うのですか?」

和が背中越しにそう呟く

「京ちゃん、やっぱ部活楽しくなかった?楽しいと思ってたのは私たちだけだったのかな?」

咲の声が段々と涙声になってくる

「京太郎、ダメだじぇ、お前はもうこの部活の一員なんだから、もうやめられないじぇ」

優希は当たり前のことを言うように

「そうだじぇ、お前はもう、絶対に、絶対にやめられない、やめさせない、二度とそんなこと言わせない」

徐々に口調が強くなってきて、痛々しい呟きになっていく

「9月におぬしがやめると言ったとき、わしらは認めなかった」
「いや、無視したんじゃったな、現実として認めたくなかった」
「京太郎、わしらにとっては、おぬしはもう、家族同然の存在じゃ」
「おぬしは欠けられない存在じゃし、勝手に居なくなるなんて認められない」

まこさんが淡々と述べる、被告人に裁判の判決を言い渡すかのように

「そうだよ京ちゃん、もうそんなこと言っちゃダメなんだからね?」
「ええそうです、たとえどんな理由であっても絶対に逃がしません、逃がしません!!」

和の言葉はもはや叫びと化し、部室全体に広がる

「じゃが、京太郎、おぬしはそうは思ってないらしいな」
「京太郎もそうなって欲しいと思い、この7か月は皆で気持ちが伝わるよう、努力したんじゃ」
「だが、それは意味をなさなかったらしいのぅ」

まこさんはどこか悟ったように呟く

「京太郎、すまん」

まこさんはそう謝る、なぜ謝ったのかはわからない

――突然、和に腕をつかまれ、手を後ろに回させられる
そのままガムテープを巻かれ、ベットに転がされる
わずか数秒のことで理解が追いつかない

「京ちゃん、本当の家族になろうね」

咲はこっちをジッと見つめ、少し嬉しそうに言う

「そうだじぇ、どっかにいってしまう前にここに縛り付けたらいいんだじぇ」
「京太郎君、縛られて辛いとは思いますが我慢してください、すぐに終わります」

優希は虚ろな目でこちらを見つめている、どこか決心したような、諦めたような表情で

「京太郎君、楽しみですね、私たちの子供はかわいらしいと思いますよ」

和は楽しそうにきいてくる。ラッピングされたプレゼントにわくわくする子供のように

「わしらにはこうするしかないんじゃ、おぬしならこうすれば縛れると」
「とはいえ、こうなったことを少しだけ喜んでいる自分もいる」
「そんな浅ましいわしを許してくれ」

まこさんは何か吹っ切れたような笑顔で伝える

やばい、やってしまった、もはやエイプリルフールなんて関係ない
あのときの、あの感覚の原因はこれだったのか、この異常に深い愛情が

しかし、ここまで想われていたなんて、そんな風に思ってくれていたなんて
嬉しさでつい顔がにやけてしまう

「あ、京ちゃんも家族になれて嬉しいんだね?」
「養育費に関しては安心してください、手は打ってあります」
「そうかそうか!京太郎もこうなることを望んでいたのか!」
「なんじゃ、案外京太郎も乗り気じゃのぅ」

そんな俺の顔を見て、思い思いの反応をする
案外こういうのも悪くないかもしれない、いや、幸福なんじゃないか

服を剥かれる、咲たちも服を脱ぎ始める

ああ、終わってしまうのだな
日常にはもう戻れない、新たな日常が始まる

そう思うと、寂しい気もしたが、楽しみでもある

裸体を見て興奮する、とても綺麗だ、美しい
言葉が漏れたのか、咲たちは微笑み、そして、咲が跨って、腰を落とした


その後は詳しくは語れないがが、とても気持ちよかったとだけ言っておこう。
二度と忘れられないぐらい良かった。
特に和のすばらなおもちが…
あ、退部の件がウソだってことを伝えてなかった、どう伝えよう…

カン!




おまけ

久『ちょ、ちょっと!!もうシちゃったの!?』

まこ「ああ、当初の予定とは大きくずれてしまってのぅ」

久『京太郎くんの高校卒業の時に皆で一緒にっていう話だったでしょ!』

まこ「いやはや、京太郎がまた部活やめると言い始めての、止められなくなったんじゃ」
まこ「まあ、エイプリルフールのウソだったらしいから、わしらの早とちりみたいじゃが」

久『もういいもん!今度は私に独占させてよね!』

まこ「分かった分かった、京太郎にも頼んでおくけぇ」

久『にしても、誰か当たった?』

まこ「ん?ああ、不幸なのか幸運なのか分からんが、誰も当たってなかったわ」

まこ「まあ、そんなことしなくても十分縛れてたみたいじゃな」チラ

京太郎「おい、優希、そんなにくっつくなって」
優希「ふふん!京太郎は私のペットなんだからいいんだじぇ!」
咲「違うよ優希ちゃん、私たちの、だよ?」
和「京太郎君がペットですか…アリですね」

久『ま、上手くいってるようならいいわ、今週末は戻ってこれそうだからよろしくね』

まこ「おう、そっちも大学生活頑張るんじゃぞ」ピッ

ワイワイガヤガヤ

まこ「ふぅ、この幸せが一生続くといいのう」

モウイッコカン!

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最終更新:2020年04月06日 22:30