「かーまーえー!」

「休みの時ぐらいゆっくりさせろよ…」

「いっつもゆっくりしてるじゃん!」

「あー、もう……俺は電話しないといけないの!分かるか?」

「ぶー!」

小さな子供のようにゴネる稀代の美少女を尻目に、京太郎は完全に手慣れた扱いでスマートフォンから発信。
数秒ほどで会話を始めた辺り、相手も着信を待っていたようだ。
京太郎の口から出た相手の名に、美少女は覚えがあった。
彼女が直接鉾を交えた訳ではないが、団体とはいえ全国の頂上に王手を掛けた五人の中の一人に名を連ねていた。
どこでどう縁を結んだかは、考えないことにした。
考えると頭が痛くなるし、京太郎はそういうやつなのだと思っておくことにしている。

美少女を放ったらかしにして、電話は盛り上がる一途のようだ。
滅多に見られない、心の底から嬉しそうで、楽しそうで、焦がれているような姿と声。
しきりに『おもち』と言う単語を口走るが、どうやら胸のことのようで。

(こんなのの何がいいんだろ…)

ある程度育って満足していたら、よりによってそれからも加速度的に育ってしまった胸を撫でながら、不満げに京太郎を睨みつける。
とはいえ、想い人がこれを好きならば、好きにさせてあげてもいいと思う程には美少女は一途でもある。
また明日、と聞こえて、意識を京太郎に戻すと、彼は先程まで美少女を蔑ろにしていたのが嘘のように上機嫌で。

「またウワキー?」

「俺とお前はそんなんじゃないだろ」

「はっきりと言わなくてもいーじゃん!」

「はっきり言わないと勘違いされるからだよ!?」

「むー!」

言いたい。
隠している胸の肉の大きさを教えて、好きにしていいと、好きにされたいと……一人だけのモノにしてほしいと。

「ねー、キョータロー?」

「間延びした呼び方するなって言ってんだろ…?」

「電話の相手って恋人なの?」

「そんなわけねーだろ。同志だよ同志。同じ志を持つ仲間、大切な人には変わりないけど」

「そーなんだ」

それならまだチャンスはある。
美少女はその柔肌を隠すシャツを脱ぎ、隠し続けていた胸を見せて……


休み明け、妙に距離が近くなった男女──特にワガママだった娘が艷やかになった姿が見られます
カンッ

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最終更新:2020年04月06日 22:36