ずっと一緒だった、幼馴染の少年。
いつまでも、友達でいられると思っていた。
なのに、なのに──

幼馴染の少年は、妹と酷く親密な関係にあった。
実家の旅館の一室、妹の私室に二人で入り浸り、同じ趣味を楽しんでいる。
──ズルい。羨ましい。
ネガティヴな感情だけが、ただ心を苛む。
女性の胸に並ならぬ興味があるなら、私の胸を好きにしていいから。
幸いなことに、自分の胸は彼の嗜好の真ん中を打ち抜くものだったらしく、風呂上がりなどに注視されることもある。
──そんなに見るなら、幾らでも見せてあげるから。
──そんなに好きなら、幾らでも好きにしていいから。
昂ぶる想いを、抑えきれない。
酷いことをされてもいい。
何をされても好きでい続けるから。
だから、だから。


その日、須賀京太郎は松実館で臨時のアルバイトとして助けに入り、幼馴染で同志の松実玄と二人で同じ趣味を楽しみ、与えられた客室で一夜を明かそうとしていた。
だが──

「宥さん?」

寝ていた自分にのしかかる美少女に気付く。
愛らしい顔立ち、自分よりも遥かに低い身長、にも関わらず凶器のような果実を二つ携えた、同好の士の姉──幼馴染の一人。
松実館の手伝いを幾度かしている関係か、パジャマ姿の彼女はよく見ていたが。

(うわぁ……やっぱすげぇよな……)

寒がりの彼女は、恒常的に厚着をしていて、それでもはっきりと分かる程のおもちを携えていたと思っていたが。
ネグリジェ姿という、京太郎の記憶にある限り初めて見る姿の彼女の色香は、そんな生半可なものではなかった。

「宥さん……?」

「うう……寒いぃぃ…」

「そんな薄着をしてるからですよ…」

「……暖かくしてほしいな……」

「……俺じゃないと、勘違いしますよ」

「勘違いしてほしい、なぁ…」

もぞもぞと、京太郎の布団の中に潜り込んでくる宥。
真正面から抱き着かれると、否応なしに彼女の身体が押し付けられて。


「ふっふっふ……これでお姉ちゃんと京太郎君が結婚してくれれば、私は京太郎くんの義妹に!姉妹で京太郎くんのお嫁さんになって、……うう、悲願の達成なのです!」

薄明かりの下、ただ黒幕のみが微笑んでいた。

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最終更新:2020年04月06日 22:42