偶然出会い、嗜好が似通っているからとあっさり仲が良くなり、家に泊めることも増えて。
姉に彼を紹介し、姉妹で彼と親しんで。
「どうしてこうなった」
甘えるように寄り添う相手が、何度目かも分からない苦悩を吐露して。
無理もない、と妹は思う。
ふっくらと膨らみ、あと数週もすれば赤子が産まれるであろう孕み腹を撫でながら、指に嵌った指輪を見て、微笑んで。
逆の腕には、姉が同様に甘えていた。
妹の目から見ても豊満だった胸は更にサイズを増し、少なくとも男性客の前に出れば、その男は良からぬ妄想に取り憑かれることになるだろう。
「私は幸せだよ」
「私も幸せです!」
一夫多妻制──嫁ぎ遅れることこ多い女性雀士の救済を念頭に置いたんじゃないかと語られる程の制度が、姉妹の葛藤を解し。
大切な姉妹同士で、同じ人に恋い焦がれ、同じ人の子を孕み、同じ人に嫁ぎ、三人で共に眠る日々。
姉妹は揺らぐことの無い幸せに、艶やかに微笑むのだった。
なお姉妹の父はと言えば、難儀な質の姉妹を同時に愛し、娶る男の存在に喜び、諸手を挙げて歓迎していた。
今は間もなく産まれくる二人の孫を楽しみに、一層の奮闘を見せている。
最終更新:2020年04月06日 22:47