20XX年、人口における男性の比率は急速に減少していた。
同性間の子供が作られる技術には女性に存在しないY遺伝子、すなわち男性が生まれないという弊害があった。
この現状を打破すべく、政府は特定の男性に多数の女性と子供を作る権利と優遇措置を設けたのである。

清澄高校1年須賀京太郎、彼こそが秘密エージェントの一人である。
たぐいまれなコミュニケーション能力を買われ、訓練を受けた彼は特に危惧されていた女子麻雀界への対策課であった。

誠「宮永はいい嫁さんだなぁ」

咲「(男女の仲ではあるけど)嫁さん違います」

京太郎「ばっさりですか」

咲(私と京ちゃんの関係は内緒にしないと迷惑になっちゃうもんね、京ちゃんはすごいえーじぇんとさんだもん)

宮永咲、彼女は最初に幼馴染に落とされた女性であり今では協力者になっている。
京太郎への協力と引き換えに多々の恩恵も受けており、なにより彼のことが大好きだった。

咲「え、京ちゃん麻雀部に入ったの?」

京太郎「おう、始めたばかりだけどな。ちなみに俺以外は全員女子だ」

咲「むぅ」

軽く頬っぺたを膨らませた咲きの頬をつつき、口から空気を抜く

京太郎「何拗ねてんだよ?」

咲「……京ちゃんがそういうお仕事なのは分かってるよ。でも私が見てないとこは、やだ」

自分が一番だという無自覚の自負、妾は認めるがあくまで自分が正妻でありたいという可愛らしい嫉妬。

京太郎「んー、じゃあ咲も入るか?」

咲「……麻雀は好きじゃないけど京ちゃんと一緒なら。私がお手伝いできたらちゃんとお願い聞いてほしいな」

止められない以上積極的に役に立って好感度を稼ぎたいのが咲の本心。京太郎の好きな異性のタイプに合致しないがための焦り。

京太郎「例えば?」

咲「えっとえっと、キス10回とか?」

京太郎「安いなお前」

咲「レディースランチにつられる京ちゃんには言われたくないよ」

照れ隠しにツン顔を背けるも、耳元で「家でな」と囁かれて咲の顔色は真っ赤に。
どこまで妄想しているのかこの文学少女は。

京太郎「じゃ、これからは部活でもよろしくな」

咲「うん、京ちゃんのために頑張るもん」

そして咲はこっそり京太郎の服の袖を摘まむ。
誰かに聞かれたら「はぐれたら迷子になっちゃうもん」と理論武装まで備えて。

彼らの物語はまだ始まったばかり。


咲「京ちゃんは秘密えーじぇんとさん」京太郎「プロローグ」、カン

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最終更新:2020年04月06日 22:50