原村和は土下座していた!
深夜の松実館の一角で、松実京太郎、松実宥、松実玄、憧、穏乃に見つめられながら、職業柄幾度か見てきた土下座を決めていた!
困惑する京太郎と宥、膝で潰れる爆乳を見つめる玄、また嫁を増やすのかと嘆息する憧、懐かしさに喜ぶ穏乃。
五者五様の反応を見ることもなく、和は土下座しながら訴えていた。
即ち───
「私もッ!須賀君のお嫁さんの一人にッ!みんなの仲間に入れてくださいッ!」
「でも、俺が告白したときには鼻で嘲笑って馬鹿にしたのは原村さんだよな」
決着である。
というか、『和』ではなく『原村さん』と呼んだあたり、京太郎は愛妻たちに気遣いもしているらしい。
「あの時は須賀君、笑って『そっか』って帰っちゃったじゃないですか!?」
「ヤバいぐらい泣いたけどな。玄さんと電話してる最中にガチ泣きキメて心配されたし」
「あ、あのときのことだね。あのお陰で京太郎くんがうちに傷心旅行にきて、
お姉ちゃんと私で一生懸命慰めたんだよね」
「懐かしいね」
ごく自然に三人で笑い合う松実家の三人。
穏乃は三人の仲間になろうと京太郎に甘えるが、一方憧の眼差しは厳冬を思わせる冷気を以て和に降り注ぐ。
「アウト」
「そんな!」
「まぁ、四人もいるなら一人ぐらい増えても変わらない気もするけど」
「憧!」
「でも、京太郎をフッたのは和でしょ?」
「あの頃の須賀君と今の須賀君は違います」
でも、と和は一人の日々を思う。
ネットサーフィンしている最中、たまに見るアダルトサイトの漫画で、告白してフラレた男が逆恨みして……というアレ。
万一京太郎があぁいうことをしていたら、私は今、どうなっていたのだろうかと。
潤んだ眼差しを京太郎に向けると、京太郎は三人の妻を身に纏い、いちゃついていた。
確かにフッたのは自分だけど…!
原村和が結婚し、子を授かれる日は来るのか…!
最終更新:2020年04月06日 22:51