夕闇に染まる麻雀部部室。
家業の手伝い、新刊が欲しい、食べたい物が安売りだから──三者三様の理由と共に切り上げられた部活。
彼女らの為に整理をしていた少年も、明日で良いかと思い始めて数分。
扉が音を立てて開く。
「須賀君…だけですか?」
「ん?あぁ、和か。みんな帰ったよ」
「……そうですか」
童顔爆乳の美少女は部室に入ると、後ろ手に扉を閉め、躊躇わずに鍵を締める。
少年は何故?と首を傾げるが、すぐにまぁいいかと気にしない事にした。
「あのですね、須賀君」
「どうした?」
「いつものを、やってください」
荷物を置くと、甘えきった声でおねだり。
他の部活仲間の前では恥ずかしくて言えないけど、二人きりならまだ勇気を出せる。
「おいで」
ベッドにもたれるように体勢を整えて、京太郎が和を呼ぶと。
最初はおずおずとしていたのに、最近では慣れたものだと京太郎に真正面から甘えにいって、そのまま抱き締められて。
しっかりとした胸板に頬を寄せ、髪を撫でられながら、満足そうに微笑む。
もうダメだ。逃げられない。
須賀君が私に乱暴して、制服も剥ぎ取られ、みんながいつも楽しんでる部室で、須賀君の玩具だと思い知らされるに違いない───
「臭くないか?結構汗かいたんだけど」
「須賀君の匂いがします。…もっと、甘えさせてください」
「あっと……しかし変わるもんだな、和がまさかこんなに甘えるなんて」
「悪いのは須賀君なんです。あんなに強く抱き締められて、慰められて、優しいことを言われたんですから」
頬の色は幸いにも夕闇に染まって隠れていたけれど、きっと真っ赤に違いない。
それ程の熱を感じる。
「もう、私はダメです」
「ダメ?」
「毎日須賀君に抱き締められないと、寝られないぐらいですから。だから──」
次の日曜日も、私をぎゅっとしてくれますか?
ささやかな願いは、夕闇に消えて。
和は、その身を京太郎に委ねながら、愛おしさに心を溶かしていた。
最終更新:2020年04月06日 22:52