幾ら巫女装束に慣れているとはいえ、だ。
コンクリート・ジャングルの真っ只中で照り返しに煽られ続け、暑くないと言っては嘘になる。
フラフラとよろける巫女装束の美少女を目にして、須賀京太郎は軽いステップと共に支えに向かって。

「えーと、永水の人……ですよね?」

虚ろな眼差しが京太郎を捉え、微かに首肯のみが返され。
僅かに残されていた力が尽きたか、京太郎に体重の全てが向けられる。
どうしようかと悩みながらも、日射病への適切な対応だけは怠らず。
知人や部活の仲間たちに連絡して、やっとの思いで宿泊しているらしい旅館に送り届けて。


それが、三日前のことである。
須賀京太郎は今、三日前に助けた美少女に膝枕をしていた。
好奇心を隠さぬ、美少女の仲間たち。
時折見つめてくる眼差しには、濃厚な感情が詰まっており。
帰ろうとすると、雨の日に捨てられた子犬のような表情で見つめてくるから、強くも言えないのだ。

(うーむ……)

早く帰りたいのに。
京太郎の思いと裏腹に、少女は京太郎ち甘えられる時間に喜びを覚えていた。

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最終更新:2020年04月06日 22:56