あれは、そう──半年ぐらい前だったか。
前々から入り浸ってたインターネット掲示板の一つで、滅茶苦茶熱く語ってる人がいた。
俺たちが好むものは、元は同じ。
多少の差で区別するのも差別するのもおかしい、互いの良さを語り合ってこそ愛だって。
最初はぎこちなかったね。
そりゃそうだ、全面戦争手前まで煮えてた頭を冷やす必要があったし、自分の信じてたものへの強い盲信もあったからな。
それでも、俺達は前に進んだ。
少しずつ相手の良さを理解し、理解され、そこにあったのが誤解とすれ違いだけと知るまで、一ヶ月もかかった。
一ヶ月で、何年もの諍いが終結したんだ。
本番はこれからだ。
件の熱く語っていたやつと俺は、思いの外意気投合してな。
メールでやりとりするようになった。
毎朝、毎晩、掲示板で語りながら、並行してメールも打ってた。
ある時、自分の胸が出来損ないだと言いながら、自撮り写真を送ってこられてな。
──そこに、俺の思い描いた理想があった。
初恋のような胸の高鳴りと、自分だけのものにしたいという独占欲と、数え切れないだけの感情がない混ぜになって──俺は感謝した。
触りたい、受け止めたい、そんな理想を受け止めるだけのものが、そこにあったんだ。
それをブチまけて、出来損ないなんかじゃないって、魂の限りを以て語った。
何通のメールになったのかも分からないぐらいだ。
でも、写メだけじゃあ本当か分からないからって言われて、俺は会いに行ったんだ。
和「で、こうなるわけですか」
そんなこというなよ。
運命って本当にあるんだって痛感したんだ。
玄「そうだよ、京太郎くんと
お姉ちゃんと私……三人で幸せになろうって、約束したんだよ?」
和「宥さんにも手出ししたんですか!?親御さんに怒られたでしょう!?」
いいや?
玄「たくさん孫が欲しいって言われたのです!」
和「私が変なのでしょうか……?」
カンッ
最終更新:2020年04月06日 23:01