優希と須賀君が夏休みの課題を終えていないこともあって、夏休み末の数日は部活も休み。
とはいえ須賀君は優希ほどサボっていたわけではなく。
朝の十時に私が須賀君の家に着いたときには、須賀君は自主的に課題をすすめていて。
分からないところだけ聞いてくるスタイルの須賀君に手出しすることも多くなくて。
手持ち無沙汰な私は、須賀君のスマートフォンを見せてもらっていました。
ですが、ですが……!

「須賀君と私の写真って、ないんですね」

画像フォルダにあるのは、女流プロ雀士のグラビア写真だったり、友人と遊びに行ったときのだったり、カピバラだったりのものばかりで、麻雀部絡みのものは五指に余るほどの少なさで。

「だって和と二人で写真を撮ることもないし、頼むのも憚られたしな」
「じゃあ、私が良いって言ったらどうしますか?」
「待受にはしないだろうけど、まぁ大切に保存はするかな」

待受にすると恋人みたいだしな、と笑われますが、それが目的だとは言えず。
抱えきれない葛藤を必死に呑み込んで、須賀君のスマートフォンに私の写真を増やしてもらいました。

で。

須賀君のお母様が出してくれた昼食を二人で平らげ、それから間もなくに須賀君の課題は全部片付いてしまい。
日が暮れるまで涼んでいくか?という提案に食いついた私は、微睡みだした須賀君に膝枕を提供し、その寝顔を堪能しています。
夕立の日、須賀君が私の寝顔を見ていたときの気持ちが少しは分かる気がしました。
膝に確かに有る重みと、髪の感触と、汗などの混じった匂い。
クーラーの効いた部屋の涼しさもあって、私も須賀君と同じように欠伸を繰り返し。
やがて、須賀君に膝枕をしながら眠ってしまいました。

──さて。
私が目を覚ましたとき、窓の外は真っ暗で。
時計の針は、この部屋に来てから二度目の12時を指そうとしていて。
私は須賀君のベッドに寝かされていました。
両親からの電話の履歴が積み重なっていましたが、須賀君が意を決して電話を取り、疲れて眠ってしまっていること、帰らせるのも危ないから今晩は泊まっていってもらうことを話したらしくて。
私は覚悟を決めました。

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最終更新:2020年04月06日 23:04