須賀君のスマートフォンを見せてもらっていると、でてきたのは女の子の写メの数々。
咲さんや優希、染谷先輩、竹井部長はまぁ想像出来ましたけど。
龍門渕のメイドさんたちや透華さん、衣さんとのツーショット。
大阪の人たちの写メは、普通なのと変なのが入り混じっていて何とも言えませんが。
北海道の有珠山の人のコスプレも、どことなく危なさを感じさせるもので。
それよりも何よりも。
(───これは、やはり犯罪的ですよ)
九州は鹿児島、永水女子の人たちの写メは、間違いなく害悪の権化です。
身体のラインが出やすい巫女装束ということを加味してもなお、私よりも大きい胸。
姫様と呼ばれていた人も、かりんとうのようなものを食べている人も、かなりのサイズ。
「あ、
霞さんたちの写メか。また送ってくれるらしいんだよな」
背中から投げられる、気軽な声に戦慄して。
振り返ると、満面の笑みの須賀君が。
「いやさ。夏のインハイの時に困ってた人たちを助けたり、迷ってた娘をホテルまで連れてってあげたりしたら、仲良くなれてさ」
ああ、なるほど。
面倒見のいい須賀君らしい話ですと、微笑。
第一高校生が遠恋、考えるだけでも辛い。
やはり身近な相手が一番いいです。
会いたいときに会える人がいい。
「でさー、ちょっと離れてるけど恋人も出来たんだぜ?」
「は?」
「ほら、この人。可愛いだろ」
どやぁと言わんばかりの顔で、一枚の写メを探し出す須賀君。
画面に映るのは、恵まれた身体をビキニで目立たせ、にも関わらずマフラーを巻き、パーカーを羽織った奇得な見た目の美少女。
そして、その傍らに立つ普通の美少女。
二人揃って小柄なのに、胸の主張が強くて。
「宥さんと玄さんじゃないですか!?」
「おう、そうだぜ。和の話を聞きたいって言われてさ、仲良くなったんだ」
知らぬ間にキューピット役をやっていたようだ。信じ難い屈辱です。
ぎ、ぎ、ぎ、と歯軋りを1つ2つしながら振り返ると、満面の笑みがそこに。
「お嫁さんは二人以外に三人までって言われたんだ。義父さんも呆れてたけど、二人がそういうなら娘が増えるのもやぶさかじゃないって言われてさ」
「是非私も仲間に入れてください!」
原村和、渾身の土下座です。
なりふりかまってどこぞのプロのような道を歩むのは下策も下策。
じゃあ聞いてみるか、と電話を始めた須賀君に縋り付きながら、私はインハイ以来の旧友と交わす言葉を探し始めました。
最終更新:2020年04月06日 23:05