幸福の京太郎

昔々とある国にキョータローと呼ばれる銅像がありました。

キョータローには宝石雀牌が散りばめられており、

国の人々にとても大事にされていました。

何故なら雀牌には「記憶」や「豊穣」・「支配」といった不思議な力が秘められており、

キョータローが異能の力を分けてくれるかも知れないとのうわさがあったからです。

その為キョータローの像にお祈りの列が途切れる事はありませんでした。

その列の中には努力はしているが中々マージャンに勝てず貧しい子もいました。

この国では王様の命令でマージャンの強い人がお金をたくさんもらえるようになっている為、

貧しい子達は毎日一生懸命にお祈りします。

「おとうさんとおかあさんが我慢しないでご飯が食べられるようにマージャンが強くなりますように」

「妹の病気を治す為のお金を貰う為にマージャンが強くなりますように」

キョータローはこの貧しい子達にこの雀牌を渡せないかと考えておりました。

するとサキと呼ばれる顔見知りのツバメがキョータローの元にやってきます。

サ「キョーちゃん悲しそうな顔をしてどうしたの?」

キ「あの貧しい子達に俺のこの雀牌を渡す事ができればあの子達が幸せになれるのに渡す事が出来ないから悲しいんだよ」

サ「それなら私がその雀牌をあの子の家に届けてあげるよ」

キ「本当か?それはとても助かるよ。」
 「でも寒くなってきているのにサキは平気なのか?」

サ「多分大丈夫!でも寒かったらキョータローさんの胸元で暖まらせてもらうからね」

キ「どんとこいだ。じゃあまずあのノドカという子にこの「確率計算の雀牌」を届けてほしいんだ」

サ「わかったよ!」

そうしてサキはキョータローの言う通り貧しい子の家に雀牌は届け続けました。

しかし最後の牌を届ける途中雪が降り始めサキがキョータローの元に戻る時には吹雪になってしまいました。

最後の力を振り絞りサキはキョータローの胸元に帰ってきたのですが…

サ「ちょっと無理しちゃったかな…」

キ「サキ、しっかりしろ。今暖めてやるからな!」

サ「…すごく眠くなってきたから少し寝るねキョーちゃん…」

そのままサキは眠るようにキョータローの胸元ではかなくなってしまいました。

キ「サキ…有難うな。生まれ変わったら今度は俺がサキを…」

次の日この国に新しい強者雀士達が複数誕生し貧しい者は居なくなりました。

しかしキョータローの像は全ての雀牌が無くなった事により祈りを捧げる人が居なくなり、

そのまま捨てられてしまいました。像の胸元には安らかな顔をしたツバメが寄り添っていたそうです。


~そして長い年月が流れ~

【東場無双】タコス「おい犬!ご主人様に早くタコスを持ってくるじぇ!」

京「さっき渡しただろーが!」

【確率計算】和「ゆーきはいい加減に食べすぎです」

【記憶】まこ「確かにゆーきは食いすぎじゃ、自重しんさい」

タコス「だとしても念の為ご主人様の為に用意しとくのが犬の役目だじぇ」

【悪待ち】久「だそうよ?須賀君」

京「てか部長もこのタコス娘の事止めてくださいよ・・・」

Prrr…

京「咲から電話…もしもし?どうしたんだ?」

咲「京ちゃーん…ここどこぉ…?」

京「また迷子か!すぐ迎えに行くから絶対にその場を動くんじゃないぞ!」
 「部長、咲の回収行ってきます」

久「よろしく~」

そういって部室を飛び出した俺は電話で咲に周りにある物を確認しながら咲を見つけた。

途中で雪が降ってきた為俺は早めに見つけられてよかったと内心ホッとしていた。

京「おーい咲ー」

【嶺上開花】咲「京ちゃーん(泣)」

京「迷子になって泣くならもう少し注意しろっていつも言ってるだろう」

咲「ごめんなさい…」

京「ま、今回もちゃんと無事に見つかって良かったよ」ナデナデ

咲「でも今回は雪も降ってきて寒かったし見つけてくれるか少し不安だった…」

京「…」ギュー

咲「え!?ど、どうしたの京ちゃん!?いきなり抱きしめてくるなんて///」

京「どんな所に居ようどんな状態であろうと絶対に見つけてやるよ。咲は俺が守る。」
 「それに寒いなら俺がこうやって暖めてやるから安心しろよ。」

咲「~っ!?///」

そう…それが咲を初めて見た時から芽生え今も変わらない俺の気持ち。

前は貧しい人へ手を差し伸べた。だから今も異能持ちが生まれ変わり生き続けている。

それはそれで良いのだろう。前世の俺が望んだ事だ。

でも今の俺は「何が有ろうと咲だけは絶対に俺が守る」

それがサキが死んでから誓った俺の全て。

もう2度と暖める事もできず失う事はしないからなサキ…

カン

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最終更新:2020年04月06日 23:13