「やっぱり胸って大事ですよね」
立直の宣言と同時に捨てられる牌に、心無しか強めの威圧が混じる。
はっきりとは窺えないし、窺う勇気もないけれど、咲さんも優希も染谷先輩も、口には出来ないほどの感情を秘めていそうで。
「永水の巫女さんたちなんて、すごかったわよね」
「迷ってたのを助けただけなのに、えらく懐かれましたしね」
からかうような元部長の声に、だらしのない声が続く。
最初は強く警戒されていたようだが、他意もなく道案内をし、困ったときの為にと連絡先を知らせ、別れたと聞いていて。
夏休みの終盤、須賀君が旅行に行っていたのは無関係だと信じたいですが。
「
霞さんも小蒔さんも、自撮りを毎日のように送ってくれるんですよ」
「あら、嬉しいのよね?」
「勿論ですよ。ただ、巫女装束はともかく水着姿や制服姿さえ……その、ドキッとするぐらい色っぽいんですよねぇ」
私の制服姿はどうですか、とは言えない。
打牌の音が、一打ごとに恨めしげに強さを増していく。
私達の方をちらりと眺め、端正な顔を歪めながら、元部長が再び口を開き───
自宅の自室で、制服から部屋着に着替えながら。
私は日毎に増えていく贅肉の塊を撫でて。
須賀君が望むのなら、この胸で誘惑してもいいのかな、なんて、独りごちていた。
最終更新:2020年04月06日 23:13