『のどちゃんはほんっっっとうにヘタレだじぇ』
『うーん、私が言うのもなんだけど…もう少し度胸をつけたほうが良いかなって』

かたや呆れ、かたや苦笑。
通ずるところは和へのダメ出し。
想い人にフラレた少年は、気分転換も兼ねて野外で運動に没頭している。
かつてはハンドボールで躍動していたと聞く少年の姿をぼんやりと眺めながら、不安でモヤつく腹を撫で回して。
こう見えても一生懸命に勉強したのだ。
どうすれば彼に愛されるか、どうすれば彼を愛せるのか。
なお、その弁明を聞いた親友二人の反応は辛辣極まっており。

『あ、そうなんだね』
『勉強してても活かせなきゃ無駄だじぇ』

流石の和も、よーいどんで告白して貰えるとまでは余り思っていなかった。
それでも、急すぎはしないか。
せめて、もう少しゆっくりでも良かったんじゃないか。
睨めつけるような眼差しに変わった親友二人から逃げるように部室を出て。

そうだ、恋愛に強いと噂に聞く友人がいたじゃないか。
彼女ならば打開策も容易に打ち出してくれるはず……!

『無理ね。ゲームオーバーからやり直しが聞くのは小説や漫画、ゲームだけ。ネガティヴなイメージが先行してる状態でやり直しなんて、ハードモードもいいところよ』

ダメ出しされた。念入りに。

『というか、和がフッた相手ってもしかして須賀……きょーたろー?なの?』

知られていた。

『そいつなら、きっとクロに相談してたわよ。同じ趣味の同士だって、喜んでたわ』

更には新たなる強敵が立ち塞がっていた。

『今度松実館で顔を合わせるって言ってたし、互いに好印象みたいだし、会ってすぐに三足飛びで恋人とかもあるかもしれないわね』

──時間の猶予は、もうない。

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最終更新:2020年04月06日 23:14