須賀京太郎が原村和にフラレて、数日。
縮まったはずの距離は遠ざかり、気まずさから顔を合わせてもすぐに距離を取るようにさえなって。
そこへ飛び込んできた、京太郎の恋愛に関わる報せ。
元はインターネットで知り合い、互いの趣味の一致から数日で心を通わせ、互いに夏の大会の現場にいたことから出会いを果たした男女。
須賀京太郎が好むおもちに関して、原村和は自身のソレが並ならぬサイズであることを理解している。
だが、だが──

「趣味の一致!母性あり!包容力あり!家事も適性あり!勝ち目なんてないじゃないですか!」
「表に出るじぇ」
「ちょっとカンしなきゃいけないかな?」
「真剣なんですよォ!」

真剣だというなら、迫って告白すればいいじゃないか。
咲と優希の顔は如実にそう言い表していた。
夜討ち朝駆け、不意打ちもある。
後は既成事実を一回作ればハッピーエンド。
なのに、やたらチキっては嘆いてを繰り返していて。

「京ちゃんが前に言ってたけど、やっぱり麻雀部で一番度胸ないのって和ちゃんだよね」

突き刺さるものがあったらしい。
エトペンに顔を埋めて鼻を啜る音がしてきて、咲と優希は嘆息をついた。

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最終更新:2020年04月06日 23:14