幻想鏡現詩@ ウィキ

背景ストーリー

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幻想と現


  物語はある日、突然に始まる。

 何時だってそうだ。私たちは渦中に居て初めてその渦を知る。
物事の歯車、その歯車になっていることに気付くのはいつだって「そうなってしまって」からだ。

 人は知らぬものを畏れる。今に始まったことではない。
 そう、だからこそ古の人と妖の賢者たちは、

  各々の住む世界を分けた。


  『博霊大結界』にて。


  しかし――――

 幻想郷と現実世界、現と夢の境界に歪み、博麗大結界の綻び。
そしてその綻びから現の世界に逃げ出してしまった

 「夢の世界の住人たち」

 幻想郷始まって以来の、存亡にかかわる大異変に八雲紫はいち早く解決に乗り出した。

 「……念のため保険をかけておいたのだけれど」

 妖の賢者、八雲紫は、夢と現の世界の境界が曖昧になることによって、幻想郷に住む人食いの妖怪、魑魅魍魎たちが現の世界を侵すこと、
そして、幻想郷の存在が今の現の世界側に流出することを恐れた。
 古の賢者が一人は博霊大結界を修復する時間を稼ぐため、そして、
現の世界の人間たちと「幻想郷自体」を守るために、幻想郷の「異変解決の専門家」に依頼する。


 「やれやれ、今回は悠長に構えてる暇はなさそうね」 

 「へぇ、今回の異変は一癖ありそうだな、私に任せておけって!」


   そして―――――

  ――――物語は幕を上げる。

 紫はまずはじめに、自らの「保険」を元にカードを創る。
 『幻想の住人たちを現の世界に呼び出すカード』を

 それを手にした者は幻想の力を借りることが出来る―――

  キィン――――  


  ――――カシャン

 「さて、こっちの世界は始めてね。どうなることやら」

 「ふーん。こっちは魔力が少ないな、けど、わくわくするぜ」

 紅白の巫女と、白黒の魔法使いは次々に好奇心と邪念に塗れた 妖怪を倒してゆく。

  しかし――――


 「な!なんだぁ!ありゃあ?」

 結界の綻びはさらに幾つもに分かれ幻想郷と現実世界を繋ぐ。
何が起こってるのか、未だ知るものは誰もいない。

  こうしている今もまた―――――


 「これじゃあ時間も人手も足りないわね。仕方ない」

 彼女は異変解決の専門家だけではなく、「他の」幻想の住人たちにも力を借りる。

 「お嬢様の『条件付』でお許しもでましたし、お手伝いいたしますわ。ええ、おゆはんまでには戻るように、と。」

 「話は聞いています。幽々子様からも託がありましたし、未熟者ではありますがご助力いたします」

 「怪しい風は捉えていました!向こうのことは私が一番詳しいですし、ついに私の出番ですね!」

 「面倒だけれど、私の住むところが危ういみたいだし、少しだけなら手を貸すわ。新しい人形も試してみたいしね」

 「あやややや!いよいよ異変は大きくなってきたみたいですね!私も以前から向こう側に興味があったんですよ!
大天狗様のお許しも出たし、取材がてらご助力いたします!」


  また、直々に各陣営に赴き、経緯を語る。


 「私は結界の修復を最優先に動くわ。だから――――

 紫はさらにもう一種類、「幻想郷を守るため」に、彼女たちの「力の一部を封印」する「カード」を創る。

 「このカードに力を封印し、協力してくれるかしら?」


  『幻想郷始まって以来の危機よ』 

   キィン―――――

 混ざり合う現と夢。 
 このままでは、人は夢を失い、夢は現に梳けてしまう。
 揺らぎは強く、少しずつ形を変え、現実世界幻想郷各地に散らばり二つを繋ぐ境界。 

 それが意味するのは、


   幻想郷の終末――――


  現実世界を守るために。
  幻想郷を守るために。


 『彼女たちの力の一部を封印したカード』もまた現実世界へ――


 「頼んだわよ、この異変を解決するのには『あなたたち』の力が必要なのだから」


 まだ物語は始まったばかり。



 私たちはまだ、幻想郷を知らない。

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