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らき☆のべ
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らき☆のべ

SPY

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lakcy

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長門有希。

ただの無口、そして(極度の)読書家という印象だと思ってたが、
突如電波的な事を俺に打ち明け、それを律儀にも証明してくれた奴。

最近俺は、あいつの事が気になって仕方が無かった。

恋という類ではない。誓ってもいい。

「・・・・・・・・・」

長門はいつものように分厚い本を読んでいた。
表紙を見せてもらうと、ラテン語だろうか?俺には読めない言語の表紙だった。
何だっけな、この前はギリシャ語だっけ?
俺の記憶に刻んでてやるよ、長門有希はいろんな国の言葉が理解可能と。

「・・・・・・・・・」

パソコンをしている振りをして、長門を観察してみる。

「・・・・・・・・・」

長門は大仏のように動かない。
正直言って、こいつの観察はとてつもなく暇な作業だ。
もしや、こいつを観察するのは夏休みに出されるアサガオの観察よりも難題じゃないだろうか?
ふむ、長門は本を読んでいると大仏だ、っと。
いや、こればっかりは既に分かったことなんだが。

それはそうと、今日、文芸部室には俺と長門しか居ない。
朝比奈さんは急用(禁則事項だってよ)、ハルヒは不機嫌で帰った。古泉が居ないのも頷ける(また閉鎖空間か)。

パタン。

長門が、本を閉じて席を立った。
いつかにも言ったとは思うが、こいつが本を閉じたならSOS団の活動終了の合図だ。

「じゃあな、長門」

「さよなら」

長門はそういって部室から出て行った。
そういえばいつもどうしてんだろうな、あいつ。尾行でもしてみるか?

その日の俺は、どうも好奇心が勝ったようだった。
いつもなら「どーでもいい」位で行動をやめただろうが。

思い立った俺は、急いで部室の鍵を職員室に返し長門を追いかけた。



長門は一人で帰路に着いていた。
俺は電柱に隠れたり自販機に隠れたりして長門を追っていた。
別にUFOで帰るとか、自転車で空を飛ぶとかはないようだな。当たり前だが。
すると、長門は店に入って行った。
どうやらスーパーのようだな。

買い物籠を手に持った長門をさらに追跡してみる。
何を買うんだ?まさか宇宙食とかじゃないだろうな。
アホか。俺。
長門はまずレトルトのカレーを取った。
まぁ普通だな。
次に長門は箱のカレーを取った。
あー・・・バで始まる林檎のパッケージが有名なやつな。
次に長門はカレーのスパイスを取った。
うん、あれ?
次に長門はカレーの・・・って。

「カレーばっかじゃねぇか・・・」

なんだあいつ。栄養が偏るとかそれ以前の問題じゃないか。
どんだけカレーが好きなんだ?
うーん、長門はカレー狂っと。
最後に長門はカレー・・・じゃなくて猫のエサの缶詰めを取った。
猫?シャミセンならウチだぞ?

籠に山積みになったカレーをレジにどっかと置いた。
流石に店員も怪訝そうな顔をしたが、普通に会計をはじめた。
うん、いい人だ。

スーパーを出て、長門は公園の方へと向かっていた。
公園か。スーパーの向かいにあり、子供の憩いの場となっている。
もういい加減に夕暮れ時なので子供も居ない。
長門は徐にさっきの猫のエサの缶詰めを取り出した。

「おいで」

長門にしては大きな声だな。
いや、それでもようやく聞き取れる声なんだが。
その声を聞きつけ、茂みから猫が出てきた。
ということは。

「あいつ、猫にエサやりしてたのか?」



長門は優という感情を持っている。




長門の意外な一面を見た俺は、まだ尾行を続けていた。
部室に居るときと違って、外での観察は飽きなかったからだ。

犯罪?知らんそんなの。
俺がしているのはただの人間観察だ。うん、そうだ。

長門は再び公園から歩き出していた。
もう日は沈んだな。
街灯の明かりが少し眩しい。

長門はマンションに入って行った。
あれ、もう家か。つまらないな。
って・・・俺はある事に気付いた。
「ぐあ!今すぐ首を吊りてえ!」
その場にうずくまり、俺はしばらく唸っていた。
こればっかりは閉鎖空間とかみたいに夢と断定できん。
ベッドから転がり落ちて目が覚めた訳でもない。

同学年の少女を尾行・・・

谷口が聞いたら絶縁位の事をしそうだな、畜生。
俺が唸っていると、

「どうしたの?」

珍しく疑問系で話しかけてきた長門が目の前に立っていた。
思わず俺は後ずさりをしてしまった。

「やっ、やっ、やぁ長門!きっ、奇遇だな、こんなとこで!」

テンパりすぎだな、俺。

「来て」

長門は俺の制服の袖を掴み、引っ張って行った。

「長門?」

「・・・・・・・・・」

長門は黙って入り口でパスワードを造作もなく打ち込みドアを開き、エレベーターに乗り込み、俺を長門の部屋の前まで連れて来ていた。

「入って」

あの日と同じ言葉で俺は長門の家に招きいれられた。

「あなたは今日、私を尾行していた」

「がっ・・・」

ヤバい。バレてる。どうする・・・?ここは日本人男子に相応しく、土下座かーーーー!?

「言ってくれれば良かった」

「え?」

「言ってくれれば・・・一緒に買い物等していた」

長門の顔にはどこか寂しさがあった。
俺はどうしようもない間違いをしている気分になった。

「な、長門・・・」

「お詫びをしてもらう」

侘びだと?俺が長門に出来る侘びといえば・・・?

「カレー」

「・・・カレー?」

「そう、カレー」

「・・・作れと?」

「そう」

あー・・・俺に料理のスキルはないんだがなー・・・

「教える」





「そこで先に野菜」

「あ、ああ・・・」

俺は長門に手取り足取り料理を教わっていた。
言われたとおりにカレーを作ってるだけなんだが、それがどうしても難しいような気がする。

「そこに林檎を入れる」

「あ、ああ・・・」

隠し味までか。いや、俺だって隠し味程度分かるぜ?
カレーに関する拘りは相当凄そうだな。

「後は待つ」

「ああ・・・」

長門が座ったのを見て、俺も座らせてもらった。

「・・・・・・・」

待つ時間。言うまでもなく無言の時間だった。
暇だな。カップラーメンの完成を待つ時間と同等だな、うん。

「出来た」

「あ、ああ・・・」

長門の事だ、時間もきっちり計ってたんだろうな。こいつの感覚ほど当てになるものはないな。
俺は杓文字を拝借し、炊飯器からご飯をよそおい、カレールーを入れてやり、長門の目の前に置いてやった。

長門はスプーンで音も立てずにカレーをすくい上げ、自らの口へと運んだ。

「美味しい」

長門はそれだけ言った。黙々と食べ続ける。
ふーん、こいつは意外と大食なのか、それなりの速さで食べていった。

「ご馳走様」

長門はそれだけ言った。
長門の清清しい顔を見ていると、俺も清清しくなったのだった。


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