民法 398条の14
(根抵当権の共有)
1項
根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、 元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めた ときは、その定めに従う。
解説
1項
根抵当権は抵当権と同様に共有されることがある。この場合根抵当権が担保する債権の範囲においてそれぞれの債権が担保されることになる。
各共有者は同順位の根抵当権者とされるのが原則である。つまり、各根抵当権者の債権額に応じて案分(山分け)される。
しかし、元本確定前であれば共有者全員の合意によって弁済の順位や割合を定めることができる。これを登記することもできる。
根抵当権がXとYが共有している場合、例えばXがYに優先して弁済を受けることとした場合次のように登記する。
優先の定め XはYに優先
Xが8Yが2の割合で弁済する場合は次のように登記する。
優先の定め X8、Y2の割合
2項
根抵当権であっても各共有者は自分の持分を譲渡できる。
しかし、根抵当権は枠である極度額しか登記されず、中身である債権がいくらか分からないというのが特徴である。
そのため抵当権とは異なる規定がある。
- 設定者にとって根抵当権者がどのような者かが重要になる。持分の譲渡であっても新たな根抵当権者が登場することには変わりないため、全部譲渡と同様に設定者の承諾が必要。
- 根抵当権の譲受人が以前から有する債権をも担保するため、共有者にとって大きな利害を有する。そのため他の共有者全員の同意が必要。
- 共有者の一部のみで持分の一部譲渡(共有者を増やす)や分割譲渡(二つの根抵当権に割る)をすることはできない(共有者全員で行うべきである)。従って、共有者全員であれば全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡すべてが行えるが、共有者の一部が行えるのは全部譲渡のみである。
補足
優先の定めは共有者全員の合意のみで行われる。その為優先の定めの登記について次のことが成り立つ。
- 設定者含め第三者の承諾が不要。従って必ず付記登記で行われる。
- 共有者全員による合同申請になり、定めによって利益または不利益あるものでも全員登記権利者であり登記義務者の顔を持つ。従って共有者全員が根抵当権を得た時の登記識別情報を要する。
- 共有者の一部のみの合意による優先の定めは無効である(一部による登記申請もできない)。効果は一部によるものでも共有者全員で合意をし、全員が申請すべきである。
順位変更は変更登記はできない(再び順位変更の登記をすべき)。しかし、優先の定めについては変更登記が認められる。
なお、元本確定後では優先の定めの合意は認められないが、元本確定後の根抵当権については抵当権と同様に順位譲渡が認められる(
民法398条の11第1項)。
従って、元本確定後であっても順位譲渡によって優先的に配当を受けさせることができる。
共有者の持分を譲渡する際に必要な設定者の承諾や他の共有者全員の同意は効力要件である(ひとつでもなければ元々無効)。
よって持分の譲渡契約よりもこれらの承諾や同意が後日あった場合は、最後に承諾あるいは同意がされた日が原因日付になる(日付がズレる)。
参考
最終更新:2012年09月21日 15:54