薄暗い地下にある浄水システムの一番奥,そこにナナリーは捕らえられていた。
「ナナリー!!」
一番最初に到着したスザクは周りを見渡す、何かトラップが無いか、誰もいないかを。
確認し、異常が無い事を確かめナナリーの所まで駆け寄る。
「良かった、無事だっ―――」
「触ってはいけません!!私から離れてください!!」
ナナリーを拘束しているロープを解こうと近寄ったスザクをナナリーは止める、何故そんな事を言うのか理解出来ないスザクだった。
だが、近くに着いた時すぐに状況を飲み込んだ。
「C4爆弾!?」
それは見えないピアノ線にくくりつけられているC4爆弾、その数6。
どれか一つでも爆発すれば連鎖し全て爆発し、簡単にナナリーを消し飛べる様に囲んでいる。
とその時!!
カチャリ!!
「っ!!」
とっさに聞こえた音に反応し後ろに飛んだスザクの足元に弾丸が飛んできた、さっきの音が聞こえなかったらおそらく足をやられていただろう。
「くっ!!」
「そうだ、そのワイヤーに触れるとナナリー諸共C4が爆発する」
すぐに体勢を立て直したスザクは、ナナリーの後ろの柱の影から現れた人物に息をのむ。
「やはり来たのはスザク、君だったか」
「ライ!!何故!?まさか君が―――」
「僕がナナリーにこんな事をすると思うかい?」
右手に拳銃をぶら下げ現れたライは、いつにもまして冷たくそれでいて楽しそうな眼をしていた。
ライはナナリーの真横に立った。
「ならここで一体何を!?」
「なぁに、ベイエリアの戦いで君と生身で戦いたくなってね」
「・・・・ライ、君は」
スザクは自分の耳を疑った、戦場では敵どうしであり蒼き死神としてブリタニア軍から恐れられているKMFパイロット。
でも学園では頼れる友であり、ナナリーにも優しい彼がこんな事をするなんて・・・・。
しかしそれと同時にドクンと、今迄とは違う衝動がスザクを覆い始めていた。
「ライさん・・・・」
「ナナリー、少しの間我慢してくれ、直ぐにすむ」
ナナリーの不安な声に、優しく静かにライは言う。
言い終えたライは銃をスザクにも見える位置まで上げた。
「こいつは僕の相棒、コルトパイソン357マグナムだ。今迄こいつのおかげで命を救ってくれた恩人でもある」
そう言うとスザクめがけてライは逆の手に持っていた銃を投げた、スザクは難なくその銃を掴む。
「僕だけが銃を持って君が持っていないのはフェアじゃない、それを使え」
スザクが手にした銃、それは―――。
「H&K MARK23 SOCOMか・・・・どうあっても、君と戦わなければナナリーを助け出せないみたいだね」
スザクも覚悟を決めた、どうあがこうともライと戦わなければならない。
それにライの事だ、何か考えが有っての事だろう・・・・ナリタ連山の時の様に。
それに、スザクも心のどこかでライとこうして戦いたいと思ってしまっている。
そう思った時、スザクの瞳も戦士のそれと同じ様になっていた。
「6発だ、6発以上生き延びたやつはいない。君のその力が勝つか、僕が勝つかためそうじゃないか」
ナナリーを守るように前に立ち弾丸を装填したライは銃をホルスターにしまい、右手をグリップのすぐ上に置く。
スザクもどの方向にでも飛べるように身構える。
そして、決闘の火ぶたはライのゴングで切って落とされた!!
「来い!!」
最終更新:2010年03月23日 22:12