決闘の火蓋が切って落とされた瞬間、ライはコルトパイソンを素早く抜きスザクに発砲する。
スザクの反射神経は超人並みだ、しかしスザクは完全にかわす事が出来ず、弾丸は左腕をかする。
(避けきれなかった!!)
(心臓を狙ったんだけどな・・・・さすがスザク、一筋縄じゃ行かないか)
ライは簡単に討ち取れないと悟ると瞬時に作戦を描く、こっちの武器は1発の威力は絶大だがリロードに時間がかかる。
対してスザクのソーコムはリロードのスピードは速く弾数が多い、こっちは予備も含めて合計12発、スザクは24発(ソーコムは一つのマガジンに12発入る)、スザクの方が有利。
だが向こうにはできてこっちに出来る事がある、それを最大限に生かせば!
(よし、行くぞ!!)
ナナリーの前に立っていたライは描いた作戦を実行に移し、走り出す。
(何か仕掛けてくる気か!?させない!!)
スザクはライに向け発砲、3発放つもライの足の速さに腕がついていけずライの後ろを通り過ぎる。
ある程度走ったライはスザクの居る方向とは違う方に向け2発連続で撃つ。
「何だ?どこを狙、っ!!」
ライが何故自分に向けて撃たなかったのかと疑問に思ったその刹那、スザクはとっさにここに居るのは危険と頭が警告しすぐに横に飛ぶ!
するとまさにさっきまでスザクが居たその位置に2発の弾丸が飛んできたのだ!!
「っ!!兆弾か!!」
「ちっ、外した!!」
ライは改めてスザクの身体能力の高さを思い知る、だが退かない!
また走りだし、スザクに狙いを定めさせないようにする、弾倉にはあと3発。
スザクもやられてばかりじゃない、銃撃戦では満足に応戦出来ないと判断すると、接近戦に持ち越す為にライへ接近する。
(ライの足を止める!!)
スザクはライの走っているはるか前に銃を乱射する、その数4.
「くっ!!」
浄水システム内部の道は狭い、ライは急停止し逆方向に向け駆け出そうとしたその時だった!!
「せいやぁ!!」
スザクはライが足を止めたその一瞬の隙をつき急接近、いっきに間合いを詰め回し蹴りをくらわす。
「うおっ!!」
腕でガードし致命的なダメージは避けられた、だがガードしたとしても蹴り飛ばされてしまう。
(さすが・・・・接近戦は此方が不利か、しかし!!)
上手く着地し直ぐに体勢を立て直したライは、スザクめがけて突進した。
「来るか!!」
スザクも駆け出し、両者はその距離を縮めていく!
腕が振れる距離まで接近した両者、スザクは強烈な鉄拳を喰らわそうと腕を振ろうとした!
それに対しライはすんでの所でジャンプ、スザクの肩を踏み台代わりに背後へと飛んだ。
「後ろか!?」
「遅い!!」
背後をとったライは残っている3発全弾を放つ、スザクを討ち取ったかに見えたこの行動だ。
しかし、スザクはマガジンに残っている5発を使い弾丸の方向を全弾変えた。
「外した!?」
外したと知るとライは即座に物陰に身を隠す。
「ハァ・・・・ハァ・・・・ハァ・・・・」
スザクはマガジンを交換する、それほど動いているわけではないが相手が相手なだけに、極度の緊張と死すれすれの戦いで息があがりそうになっていた。
「ふふふふ、良いセンスだ!!さすがランスロットを操り僕達を苦しめる男、久しぶりだよ、これほど充実した戦いは!!」
弾を込めながらライはニヤッと笑う。
「ライさん・・・・スザクさん・・・・」
目が見えないナナリーはもの凄い不安に駆られている、弾丸が当たるかではなく2人が死なないかが。
とそこへ――――――。
「・・・・この足音は」
「そろそろ―――」
ナナリーが別の足音を聞いたその時!!
「本気を出していこうか!!」
「っ!?」
ライは別の足音が聞こえた方向に全弾をはなつ、すると―――。
「ぐあああああ!!ライ、貴様ぁぁああああ!!」
「迂闊だな、マオ!!」
ライは現れたマオに何の躊躇も無く弾丸をぶちこみ、今度は物陰に隠してあった仕込み刀を抜き切りかかる。
「このぉぉおおおおおお!!」
自分を撃ったライに隠し持っていた銃を向けたマオ、だが!!
規則正しい連続音と共に腕に衝撃が走り、マオの腕から銃が飛んでいく!
「なっ!?」
「ライは殺らせない!!」
スザクの援護を受け、ライは距離を詰め刀を振りかざす!
「せいやああああ!!」
しかし、マオは刀が振り下ろされるよりも早くその場を去っていく、弾丸で受けた傷から流れる血を残しながら。
「お待たせ、ナナリー」
「ライさん!!良かったです」
震えている声でライの生存を喜ぶナナリーの頭を優しく撫で、持っている刀でワイヤーを切っていく。
C4が音を立てて床に落ちていく、が爆発はしなかった。
「ダミー?」
「すまなかったスザク、大丈夫かい?傷は」
「ただのかすり傷さ、それよりもどういう事か説明してくれないかい?」
スザクに今回の事について説明する。
最初ナナリーを発見し、彼女の頭上を動いていた本物の爆弾を解除した時だった。
「大丈夫かい?ナナリー」
「はい・・・・ライさん、ありがとうございます。来てくれると信じてました」
ニッコリと笑うナナリーを見てライも微笑む、そしてここを出ようとしたその時だった
「っ!!」
「何ですか?今のピンという音は」
「センサーだ、迂闊だった・・・・マオめ」
車椅子を動かすと作動するように仕掛けられていたセンサーに気付かなかった、しかしライはこれを逆手に取る策を思いついた。
「ナナリー、僕に考えがある!だけどナナリーにも協力してもらわないとだめだ」
「どんな考えですか?私に出来る事なら」
ライは作戦補佐として戦っている時の顔になり、ナナリーの目線の高さまで跪き策を伝える。
さっきのセンサーはナナリーの車椅子が動いた事を知らせる物、だとするならマオはこっちに向っている可能性が・・・・。
いや、向かっているだろう。
ならばここで彼を待ち伏せし、叩く事が出来ればニ度とこんな事にはならない!
しかし心を読むギアスを持っているマオにこの事を悟られたら一環の終わりだ。
そこで―――――
「スザクに決闘を申し込もう」
「殺し合いをするんですか!?」
「それくらいの気持ちでやらないと気付かれる、スザクなら生き抜けるよ。僕とスザクを信じてもらえないかい?」
「・・・・わかりました、でも死なないでください、約束です――――」
ナナリーはライに聞こえない位の小さい声で言う。
―――ライさんがいなくなったら、私・・・・生きていけませんから・・・・。
そしてナナリーにも協力を頼み捕まっているふりをしてもらい、今にいたる。
「と言う訳だ」
「なるほどね、確かにそうでもしないとダメだったかな」
「ですが、犯人には逃げられてしまいました」
ナナリーの言う通り、マオにはすんでのところで逃げられてしまった。
「あとは僕が何とかする。スザク、ナナリーを頼むよ」
「ああ、任せて!」
「ライさん、気お付けてください」
スザクにナナリーを任せ、ライは全速力でマオを追いかける。
この後、C.Cと再会したマオは彼女によってその命を散らし、C.C本人はライの励ましで短期間のうちにまた元気になったそうだ。
最終更新:2010年03月23日 22:12