041-093 鉄の道 三章 過去の涙 @テリー"



その夢はちょうど3年前の事だっただろうか・・・・


「鉄の道 三章 過去の涙」


ライが機関士になる前の年までライは本社幹部としてその剛腕をフルに発揮していた
そんな中で行われた世代交代でブリタニアは新任の社長シュナイゼル、新体制誕生と同時に新しい列車の建造計画を打ち出した。
新造列車の条件としては
1高速(もしくわ中速)列車
2乗客の大量輸送
3安全なシステム
と言うもので、設計部の技術者は張り切っていたがなかなか上手くはいかず
そのせいか発表から3ヵ月もの間一つも最良案が出てこなかった。
「付けた条件が厳しすぎたかな?」
「そうですね、今旅客数が多いのは一番の難所と言われるイタリア方面のアルプス越え
ですから」
シュナイゼルの問いかけに秘書であるカノンが答える、アルプス山脈を越える路線は
イレギュラーが非常に多く事故が他の路線よりも断然多いし越えるだけでも列車は
かなりのパワーを持つ事が絶対とされる。
「オリエントなどが限界か・・・・あれの後継機がそろそろ欲しいところではありますが」
「しかし看板列車を易々と引退させるわけにもいくまい」
「そうです、創業から今まであの困難な路線を支えてきた“英雄”ですもの、人気も高く
何より伝統が有る!」
「さよう、あれに変わる列車などほぼ無きに等しいでしょう」
会議室にいるブリタニアの重役達はそれぞれの意見を言い出してみるもの中々まとまらず
先行きは暗いように思われていた、策士として名高いシュナイゼルも困り果てているくらいなのだから。
「お困りのようですな、シュナイゼル兄上」
「・・・・ルルーシュ、何かいい策でもあるのかい?」
本社総合統括室室長ルルーシュ、つまりは副社長の立場にある彼はシュナイゼルに負けじ劣らずの策士でかなりの切れ者でもある、会社の経営も彼の功績により大きくなった部分もある。
「無論です、この時をどれだけ待ち望んだ事か!今その設計図をご覧にいれましょう」
得意げに話すルルーシュが宣言すると後ろに率いていた部下が資料の配布と
モニターの準備を進める。
配布と準備が終わるとルルーシュ以下部下達はモニター横にあるマイクの所に集まると
シュナイゼル達に説明を始めた、まずルルーシュが切りだす。
「これをご覧ください、重役の皆様がた」
そこに映し出された列車の外見はあの夢の超特急と言われた新幹線“0系ひかり“に似ていたがどちらかと言えばアメリカのペンシルバニア鉄道(PRR)で最も有名な電気機関車「GG-1」と、寝台客車列車「ブロードウェイ リミテッド」に近い形だろう。
「最高時速250km、最大牽引可能車数じつに30両、万席時では200人もの乗客
を運ぶことが出来その際の最高速度も150は軽く行くほどの馬力を兼ね揃えた機関車」
ルルーシュがそう説明すると重役達もさすがにざわつきだす。
「アルプスをそんな重量で引っ張れるのかね?」
在席している重役の一人が質問すると
「御心配には及びません、その為のテストも行った結果出た数字です」
そう説明するのはルルーシュの右腕と称される男、枢木スザクは自信を持ってそう答える。
「客車の豪華さもかつてないレベルにまで跳ね上がらせる事も出来ています!二階建て式の客車を採用したため乗車率も向上する事ができました」
左腕と称される紅月カレンが説明、スザクと合わせて“紅白の騎士”なんて呼ばれたりもしている。
「実際にこちらもテスト済みであり、すでに試作の車両を開発済みです。今現在
中央車両基地に保管されています」
ルルーシュの秘書を務めているシャーリー・フェネットは付け足しと言う形で発言するとその親玉であるルルーシュが
「この事による経済効果も絶大な数字を吐き出すと確信します、わが社の収益も今の
状態よりも20%増加する事が可能でしょう」
もしこれが実現すれば会社にとっても大きなプラスになる、しかし重役がここで
待ったをかける。
「しかしルルーシュ副社長、生産コストはどうなのですか?かなりかかるのでは?」
「その点については心配ご無用、機関車を含め総ての車両にアルミを大量に使用いたしますのでコストは削減できましょう」
と答えるとそれを裏ずける資料を見せる、さらにこのプロジェクトに参加した
ルルーシュの部下である妹のユーフェミアが
「さらに最高速度の状態でも安全に走行出来るよう、線路に電磁波を流し続けそれを
センサー変わりとします。もし線路上に何か障害物が有ればそれを10km手前で
機関車に備えてありますコンピュータが認識し自動ブレーキをかける仕組みとなっております」
「つまり、急ブレーキの必要はもういらないと言う事です!」
ユフィの説明の後にスザクが付け足す、その後も色々な質問やら説明やらでたっぷり2時間近くはすぎた。
ここで新型の列車の利点をまとめると次のとうり
1つ、時速200kmを超える高速
2つ、乗車可能客数は従来の約2倍
3つ、基準値の倍以上のアルミを使用
4つ、ドアの開閉や運転等全てコンピューター任せ、運転士不必要
5つ、10km先の危険を感知できるセンサー搭載によるブレーキシステム
6つ、徹底的な人員削減による人件費減
7つ、急ブレーキの不要による快適な運転
が主にあげられる
「以上の点を踏まえましても、この列車が極めて安全である事が解るかと思います。
そしてこの列車最大の特徴は運行管理も制御もすべてコンピュータが全自動で行う
と言うすぐれものである事です」
スザクが最後の締めを言うと重役からは質問が飛び交う
「コンピュータによる全自動ですか、何か不安なところが有りそうな感じを受けるのですが」
「御心配には及びませんミスターゴードン、すでにあらゆる状況下でのテストも想定して実証済みです、このデータのとうりに」
「・・・・・・・・・・」
このルルーシュの最後の言葉を含めた一連の説明をうけたシュナイゼルは一人沈黙を
貫いていた。
「兄上、いかがでしょう?直にでも採用の価値が有るかと思いますが」
「ルルーシュ、一つ聞かせてくれないかい・・・・君は列車とは何だと思う?何が一番
必要だと感じる?」
シュナイゼルの問いかけにルルーシュはこう答える


「速さ、快適さが必要でありそれ以外など不要でしょう、ただたんに人や物を運び
利益を生む道具こそが鉄道です。余分なものも極力は省くのも大切でしょう?そうでなければ利益など得られない、要らない機関士などいても変わりはありませんから」


「・・・・そうか、説明御苦労。後の査定を待て」

シュナイゼルの指示にルルーシュ達は礼し会議室を後にする。
「・・・・社長、先の計画案が一番いいと思われますが」
「私もそう思います・・・・しかし」
「危険ですね・・・・何か嫌な感じを覚えます」
「前線の兵士の命を考えない指揮官も様に思えますな・・・・」
口々に発言する重役達の顔はどれもこれも険しい顔しかしていなかった、重役の全員は
機関士や車掌、駅員を経て就任した者ばかり。
「皆も解ってくれ、ルルーシュはそう言うのを経験しないで今の任に付いている
現場の気持ちなど理解できないでいる・・・・」
シュナイゼルはルルーシュをかばうがやはり解せない部分が有るのか、晴れやかでは無い気持ちだ。
「ではどうするのです?」
「エレン、仕方あるまい。あれ以上の発案は無さそうだからな・・・・カノン
すぐにでも通達を頼む」
「心中お察しいたしますシュナイゼル社長、かしこまりました」
決定したは良いものの、会議室の空気は重いままであった・・・・


翌日、全社に通達が出されすぐに車両の製作がスタートしようとした、が・・・・
その計画に反対する者が出ていた。
「断固認められない!!コンピュータの全自動なんて信頼のかけらも無い!!」
ルルーシュのデスクをバン!!と叩きアーニャが猛抗議する、それに続き
「貴様気でも狂ったか!?利益を優先させ過ぎるとロクな事がないんだぞ!!
そもそもテスト環境が晴天下のみとは手抜きにもほどが有る!!」
とC.Cが怒鳴り
「車両の耐性も低すぎるぞ!!脱線でもしたら通常の車両よりもメチャメチャで生存率なんて微々たるものだ!!」
ノネットも鬼の形相に近い表情をして詰め寄り
「あなたは現場の気持ちを考えた事は有るの!?これじゃあ経営理念も何も完全に
無視じゃない!!」
ミレイもかなりの大声で詰め寄り
「ルルーシュ殿の策には賛同しかねます!!安全を考慮に入れないでどうします!?」
アーニャ達より勢いは抑えているが明らかに不満の表情のジェレミアではあるが実はここにいる4人だけでなく今回の計画に反対の者は多くこの4人は全員を代表して詰め寄っている。
「何を言うの?この計画はすでにシュナイゼル社長の了承を得た正式な計画なのよ?
計画の中止なんて認められないし変更、改良の必要も無いわ」
落ち着き払った態度で答えるカレンにアーニャが
「改良なんてあり過ぎる!!こんなの欠陥だらけで目も当てられない位!!」
噛みつくとスザクが
「アーニャ、それならどんな所が改良すべきだと言うんだ!?」
聞き返すとすかさずノネットとミレイが言い返す。
「そんな事も解ってないのかお前たちは!?ドアの開閉も運転操作も何もかも
コンピュータ任せでは緊急時の時にはどうするつもりだ!?」
「これが高速列車TGV用の線路ならまだ良かったでしょうけど一般の路線なら何が起こるかもわからない、そんな中でこの安全性は低すぎる!!非常ブレーキも無い手動操作も出来ないじゃあイレギュラーに対応できない!!」


「黙らないか!!」


と一閃、ルルーシュが言うと部屋はしんと静まり返った。
「お前達のほうが解っていないな、すべての条件はクリアされていると言うのに
何を喚く必要が有ると言うのだ?」
何を言う!!と言わんばかりの呆れた表情の4人に嘲笑うかのごとくルルーシュは
言葉を続ける。
「ふ、甘いな。現場の意見よりもデータの方が信頼が有るのが解っていない様だ。
計画の変更は無い、以上だ!!」
悔しさをにじませてルルーシュの部屋を後にするアーニャ達の後姿をいいきみと言わんばかりの視線でルルーシュ、スザク、カレン、シャーリーは見る。
「ねえルル、今後もこんな事になるなら見せしめが必要なんじゃない?」
とんでもない事を言うシャーリーにルルーシュはニンマリと
「ふむ、いい考えだ。しかしまだ早い」
「全てを奪うまではって事?」
カレンもニヤリと薄ら笑いを浮かべ問いかける
「ああ、あいつにはこの本社から消えてもらわなければならないからな」
と不敵に笑うルルーシュにカレン、スザク、シャーリーが不気味な空気をかもしだしている。
翌日、本社内に出された通知は誰もが目を疑う内容の通知だった。



以下の者を解雇処分とす
  技術・運転部門所属 重役 アーニャ・アールストレイム
  同部門       重役 C.C
同部門       重役 ノネット・エニアグラム
  同部門       重役 ミレイ・アッシュフォード
  同部門       重役 ジェレミア・ゴットバルト
以下同部門社員10000名



技術・運転部門とはこのブリタニア経営の核となる運転士、車掌及び車両開発など最前線で働く部門である。
この通知の意味するものは社員の大量解雇、見方を変えればリストラともとれるがここにあげられる人物には今回の計画に反対していると言う共通点があった。
「君は会社を潰すつもりか!?」
「経営方針にのっとった正当な判断だ」
さも当たり前と言わんばかりの態度のルルーシュ
「ふざけるな!!だたの見せしめの為じゃないか、こんな事が許されるはずがない!!」
「見せしめ?何の根拠が有る?証拠でも有るのかライ」
技術・運転部門統括部長であるライは自分の部下の大量解雇を許すわけにはいかない。
「ルルーシュ・・・・貴様」
奥歯を噛みしめ必死に冷静さを保とうとするライ
「それもこれもライ、貴方の監督不届きが原因なのよ。貴方がしっかりと部下の管理を
していればこんな事にはならなかったんだから」
人を上から見下ろす様なカレンの発言
「何を言う!?技術部の意見も何も聞かず、あまつさえ勝手に推し進めた計画に対して
反対を言うのは当たり前だろう!!」
反論するライの声には凄まじい怒りが込められているも彼等には届かない。
「ライ、この計画はシュナイゼル社長がOKを出したんだ。その中での反論だなんて
許されるわけがないだろ?」
キッとスザクを睨むも動じないスザクはライに冷たい目を向ける。
「それでライ、君に取引が有るの。まぁ呑むしかないでしょうけどね」
しれっと言うシャーリーにルルーシュが続く
「もし部下の解雇を取り消したくばお前の持つ権限と現在の地位、その他会社に関する
全てをよこしてもらおうか?」
その驚愕な要求にさらに怒りがこみ上げてくるライの心は破裂しそうなほどだった。
(最初からこれが狙いか!?僕をとうざける事でさらに自分の力を確かにするために)
副社長の立場はこの会社内では意外と弱い、現場重視の経営方針を貫き通し此処まで来ている、そのためライが付いている統括部長が実質的なNo2なのだ。
ルルーシュはずっとこの地位を狙っていたが中々お呼びがかからずそれをライに取られたと言うから後が悪い、その座を奪わんと色々画策や探りを入れていたが隙のない
ライにお手上げだった。
(けど・・・・いったい何がルルーシュ達をこうさせたんだろう?大学時代はこんなのじゃなかったのに)
権力の魔力か・・・・高みの味を知り抜けられなくなったのか・・・・ライには知る由が無い。
大学時代、同じサークルだったライ、ルルーシュ、スザク、カレン、シャーリー
アーニャ、C.C達の中の良さは有名であったほどだったと言うのに今はこのとうり
大きな溝が出来てしまっている。
「黙っているようだが、答えはどうなんだ?」
ルルーシュが急かす様に問いかける、ライはその重い口を開け答える・・・・
「・・・・・解った、その提案を受け入れよう。ただし!!あと一回だけ権限を使わせてもらう、それを受け入れてくれるのなら」
「まぁいいだろう、承認しよう。ライ、お前は機関士として働いてもらう。
要は降格処分だ、いいな?」
「ああ、だがこれだけは覚えておいてくれルルーシュ。何時か必ず君は後悔する事になるだろうこの計画の中での最大の見落としの為に起こる事に」
そう言い放ったライは契約書にサインすると部屋を後にした、その背中は悲しみを奏でているかのように暗く沈み、それを表現するかの様にライの頬には一筋の涙が伝うのだった。


「・・・・・またあの時の夢か」
目を覚ましたライは揺れる天井をみて呟いた。
あの次の日、社内に解雇の取り消しと人事移動の通達がなされ事態は収束したが
アーニャ達は心に深い憎しみを内に抱える事となった、でもこれ以上何か事を起こしてはライに迷惑がかかると黙っているしかなかった・・・・。
ライ本人はその後、変りはて、もはや友人とさえ見られなくなったルルーシュや
スザク達との決別に深く傷ついていたがC.Cやノネット、ライを慕う大勢の部下達
の励ましとアーニャの優しさで立ち直る事は出来たもののこの時の事を夢に見るようになってしまったのだ、その度にライは涙を流している・・・・
(・・・・・今は夜中の0時か、バーにでも行ってみるかな)
暗くなった気持ちを吹き飛ばす為にライは8号車に向かった。


カランとウイスキーと氷の入ったグラスを回しながら考え込んでいるミレイと
ワイングラスを切なげな顔で見つめるノネット、カクテル独特の細いグラスを
ちょんと溜息をつきながら悲しみの表情でこつくC.Cの3人は並んでシンミリと
していた、その空気に耐えかねたルキアーノはグラスを拭きながら尋ねる。
「3人らしくも無いな、そんなにシンミリと」
「それはそうなるわよ、せっかくいい気分でいた所にあいつの事を聞かされちゃそうなるわよ」
片腕をひじ掛けに膨れっ面になったミレイが不満を漏らすに従い
「あれから2年間、仕事としては充実しているがあの時の憎しみは消えずにいる」
ワインを口に含み自らの心の内を曝け出すノネットに賛同するように
「それがもうお披露目の時期にきてしまった、あの時を思い出させおってからに」
自らの中にある憎しみを押し殺すように唇を噛むC.C。
「お前ら・・・・」
「お揃いでしたか皆さん」
何と言っていいやら解らずにいたルキアーノの所に現れたライをみて3人の表情にも
ほんの少しだけではあるが笑顔がこぼれた。
「ようライ、十分に休まったのか?」
「おかげさまで。ルキアーノさん、バーボンをロックで」
「よしきた」
ライはC.Cとノネットの間の席に腰掛ける
「よく眠ってたな、中々可愛い寝顔だったぞ?なぁ2人とも」
頷く2人はとても満足そう、それに溜息を漏らすのは誰であろうルキアーノさん
「そ、そうですか?それよりもここに来た時空気が重かった気がするんですけど何かあったんですか?」
「そ、それは・・・・」
ミレイが口ごもるとライはその意味を瞬時に悟った。
「ゼロですか・・・・確か今日がお披露目でしたよね・・・・」
「知っていたのか?」
「当たり前だよC.C、嫌でも覚えてるさ・・・・あの時は忘れようとも忘れられないから」
友情を何よりも大切にするライにとって最大の悪夢に等しかった出来事を簡単に忘れるなどできはしない・・・・。
「ごめんなさいライ、あの時あたし達があんな事しなければ今頃は出世街道ばく進
だったのに・・・・」
沈黙を破ったのはミレイの心からの謝罪だった。
「そんなミレイさん、謝る必要なんて――――」
「そんな事はない、私達がいらぬ事をしたばっかりにこんな事になってしまったんだ
責任は私達にある」
ノネットは悔しさを押し殺すように言うも手に持っているグラスは小刻みに震えている。
「例え抗議に行かなくても僕は行ってましたよ、だから謝る事なんてないんです」
「しかしよくオリエントや他の急行廃止を止める事が出来たな?」
「シュナイゼル社長にイタリア方面の路線に関する総ての権限を渡したんです」
C.Cの問いに答えるライは顔をしかめる、あのサインをしてから何日かした時に聞いた
噂でルルーシュ達はイタリアに向かう全ての急行の即時廃止を打ち出したのだ。
「それぞれの急行や特急が上げた巨額な収益の何パーセントかわ発案者が頂けるからな
ルルーシュのやつはそれが狙いだったのかもしれねぇ」
ルキアーノは冷静な態度で自分の考えを述べる、いついかなる時でもクールにがモットー
の彼だからこその姿勢だった。
「それにもしこれが通っていたら何百という職員が消えていた事になったからな」
「ノネット、それ本当の話?」
「ああ、話によると運行のみならずそれに関わった技術者にいたる全てだったそうだ」
ミレイの質問に答えるノネットは情報網が多くこういった情報はすぐ入って来る。
「ルルーシュめ、何を考えているのか・・・・」
「C.C、それに皆さんももういいじゃないですか。例えどんな事になろうとも
更なる地獄は避けられませんでしたよ僕の犠牲なしにはね、それに――――」
そこで一旦言葉を切り、淡く波打つバーボンを眺め
「僕は機関士になった事を後悔はしていません、皆とこうして一緒に仕事が出来るし
同じ時間をすごす事が出来るんですから」
静かに、そして優しく言うライの言葉は3人の心を優しく照らす。
「ふっ、まさかお前に励まされるとは思わなかったぞ」
「いいじゃないか、ライは優しすぎるんだから」
「だがそれがキズ物であるんだぞ?今までどれだけのフラグをこいつが建てて来た事か」
いつもの調子に戻ったC.Cとノネットの会話に?となるのは朴念仁のライであった。
「いよっしゃ!皆元気になったところで、このミレイさんが一曲歌いますか!!」
「あ、僕が歌いますよ。ちょうど一曲歌いたいのが有りましたし」
ライはカラオケボックスの前まで行き曲を入力し歌い始める。



その歌声に反応してか、さっきまで吹雪だった外が嘘のように穏やかになっていったのだ


「あ、吹雪が止んだ」
「本当だな、まるで誰かの心を表しているかのようだな」
この現象に機関車でコーヒーを飲むアーニャとジェレミアは自然と笑顔になる。
「・・・・・・ライ」
目を細めて呟くアーニャは愛しい人を想いながら夜空を見上げる。
「心の底から愛しているのだなアーニャ」
「もちろん、私の全部をあげたいと思える人だから」
首にかかっている銀色をした猫の形をしたロケットを取り出しライの写真を愛おし様に
見つめるアーニャをジェレミアは娘を見守る父親の様に見るのであった。



TO BE CONTENYU


最終更新:2009年07月04日 13:08
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。