レイナスはEUの基地制圧を歩兵部隊に任せて旗艦であるデメテルへ帰還しながら今までの自分の過去を思い出していた。
自分の両親のこと、父親は軍人で自分が15才のときに戦死した、また母親は物心つく前に病気で死んだと聞いている。
自分は16才のときに士官学校に入りそこを首席で卒業した、その後EUや中華連邦との戦いで武功をあげ1年前にエリア11で反乱をおこした
仮面の男ゼロを捕まえた少年、枢木スザクと同じ日にラウンズに昇格した。
その後もあちこちの戦場に行き、そして自分に忠誠をつくしてくれる猛者たちと出会った。
彼等は命がけで自分を守ると言った。ならば自分も命がけで彼らを守ると心に決めている。それは仲間を失いたくないという彼の純粋な気持ちから来ている。
目の前の青空に漆黒の戦艦が現れた、レイナス達の旗艦デメテルである。この艦は見た目こそ大きいが機動力は並の戦艦を遥かに超えており、その機動力は世界一と言われるほどである。
この艦はキャメロットのロイドに自分の部隊の戦闘データ提供のかわりに開発してもらったのである。
最初にこの条件を出した時レイナスはあまり期待してはいなかったのだが、ロイドからの返事は。
「いいよ~♪、いろんな面白いデ~タがあつまりそうだからOK~」と簡単にOKしてくれたのである。
ちなみにその莫大な開発資金はレイナス達が払っている。
余談であるが彼らの給料は普通の人が見れば狂乱してしまうほどの額なので安心してもらいたい。
旗艦から通信がきた、通信用モニターに現れたのは軍帽をかぶった短い茶髪の男性アデス・バルクである。彼はこの旗艦デメテルの艦長である。
「隊長お疲れ様です。おみごとな戦いでした」
アデスは低く落ちつた声でいった、それ対してレイナスは静かに返事をした。
「ありがとうアデス。あとほかの皆は帰還しているかい?」
「は!、リーラ卿、レナ卿、ガルド卿、カリウ卿、各卿すでに帰還されております 」
「そうか……わかった、ありがとう。格納庫のみんなに伝えてくれ、今から入る機体の整備を頼むと」
「Yes My Lord」
アデスはレイナスの言葉に強く答えた。
クラブが格納庫に入りレイナスがコックピットから出てくると1人の少女が走ってきた。
「レイナス様~、お疲れ様です~!」
「レナか……」
亜麻色の髪で小柄な体に黒い騎士服を着た、幼い顔の少女レナ・アリアンが手に持っていた濡れたタオルとドリンクの入ったペットボトルを差し出してきた。
「はい、どうぞ~」
レイナスはそれを受け取ると彼女のショートヘアの髪をお礼を言いながらやさしくなで仮面を外してタオルで顔を拭いた。
「ありがとうレナ、ちょうど喉が渇いていたんだ」
髪をなでられたレナは頬を染めて満面の笑顔で
「へへ!、ナデナデされちゃいました♪」
と、とても嬉しそうに笑った。
その後ろから、小柄な彼女とは対照的にレイナスより頭1個分大きく、また彼女とは少しデザインの違う黒い騎士服を着た、
精強な顔と黒髪の長髪を後ろで束ねている男性、ガルド・ベリトが歩きながら口を開いた。
「レイナス様、お疲れ様です。作戦成功おめでとうございます」
レイナスはドリンク飲み終え、それを近くにあったゴミ箱に捨て返事をした。
「ガルド、君もお疲れ様。後方の基地攻略の指揮ありがとう、おかげでこっちもうまく言ったよ」
「いえ、あれはレイナス様の作戦あってのものです。自分はほとんど何もしていません」
レイナスの返事ガルドはかしこまって返事をした。
「そんなこと言うなよ、君がいたから安心して出来たんだ、素直に受け取ってくれ」
この言葉を聞きガルドは表情を和らげて。
「もったいなきお言葉です、ありがとうございます」
と頭を下げながらいった。
それを横で見ていたレナは両手を胸の前で握り
「レイナス様、私は?、私はどうでした?」
と弱々しく聞いてきた。
「うん、君もよくやってくたよ。レナありがとう」
とレイナスはまた彼女の亜麻色の髪をやさしく撫でる。
「また、ナデナデされちゃいました♪」
レナはさっきよりも嬉しそうにそういって笑った。
ガルドはニコニコ笑っているレナを見てもう大丈夫だなと思った。
この少女、半年前に両親を不慮の事故で亡くしている。その時の彼女はレイナスの指揮下にいたが両親が死んだと聞いた彼女は自分の部屋に引きこもり出てこようとはとしなかった。
それに対してレイナスは。
「僕にも父と母がいない、僕にもその悲しさは分かる。僕が傍にいる、僕が君を悲しませはしない」
といった。この一言でレナは元気を取り戻した。
ちなみに、この言葉を聞いたガルドは(これは聞き方によってはプロポーズではないのか?)と思った。しかし彼はこんな事でも平然と言ってしまう天然だった。
そんなことを思い出していると近くにあった端末から通信が入った、その通信はブリッチにいたリーラからだった。
「主、シュナイぜル殿下から通信が来ています、ブリッチに来てください。あとレナとガルドにも来るようにいってください」
「分かった、ところでカリスは?」
「すでにブリッチに来ています、あとは主達だけです」
「わかった、着替えたらすぐに行くよ。」
レイナスは端末を切り仮面をつけ2人の部下とともに早足で格納庫をでていった。
レイナスが騎士服に着替え漆黒のマントをつけてブリッチに来るとそこにいた隊員は皆一同にレイナスに対して敬礼をした。
「レイナス様、お疲れ様です」
緑色の髪をオールバックにし目つきが鋭い男、カリス・サレイオスが話しかけてきた。
「あれ、カリスその顎どうしたの?」
よくみると彼の顎には絆創膏がはられている。
すると横からリーラが少し小馬鹿にしたように。
「この男、先ほどの戦いで自分が一番撃墜数が多かったためか…コックピットから出るときに足を滑られてしまい、
操縦桿に顎をぶつけたのです」
「このアマ!、それは言うなと言っただろが!」
突然口調が悪くなるカリス。この男見た目は怖く、戦闘好きで言葉は乱暴な所はあるが仲間思いの人間である。
「はいはい、喧嘩しない2人とも」
それをいつもの事だというように治めるレイナス。
「イクス卿、シュナイゼル殿下から通信が来ています」
オペレーターの言葉とともに通信用のモニターにシュナイゼルの顔が写った。
「やあ、イクス卿、任務ご苦労だったね。この作戦の成功は君の隊のおかげだ、ありがとう」
シュナイゼルが微笑みながら静かにいった。
「はい、ありがとございます。ところで殿下、僕た……我々はこのあとブリタニア本国に帰還して良いのですか?」
「ああ、あとは私に任せてくれればよい、君たちは本国に帰還して英気を養ってくれたまえ」
「ありがとうございます。部下たちも喜びます」
すると、シュナイゼルはレイナスの仮面を見ながら。
「皇帝陛下の命令とはいえ、いつもその仮面をしているのは辛くないかい」
「もう慣れました……、それにいつもと言ってもテレビや写真にうつる時や仕事中にかけていろと言われています」
「プライベートの時は?」
「一応持ってはいますが……かけません」
「そうだろうね……ところで私が本国に帰ったら、またチェスをしないかい?」
「また……勝たせてもらいますよ?」
「フフフ、この前は負けたけど……2回目は無いと思ってくれ」
「覚えておきます………」
「良い返事だ……ではまた本国で」
そういうとシュナイゼルからの通信は切れた。
レイナスは通信が終わると後ろを向き、自分の部下の4大騎士を見て喋り始めた。
「みんな御苦労さん、聞いてのとうり本国に帰るよ。次の任務はまだ未定だから今のうちにゆっくり休んで欲しい。」
その言葉が終わると同時にリーラがレイナスの腕を掴み、自分の豊満な胸に押しつけながらしゃべった。
「では主、約束どうり私と"デート"ですね」
いきなりの爆弾発言。
「え?、あ!」
そうだ、思い出した。確か前にあまりにもしつこく言ってきたのでしぶしぶOKしたことをレイナスはスッカリ忘れていた。
「う……わかったよ、リーラ」
「フフフ、どこに行くかはあとで"二人きり"で決めましょうぞ♪」
二人きりをやたら強調するリーラであった。
それを聞いたレナは頬を膨らませて。
「む~、私もレイナス様と"デート"するー!」
こちらも爆弾発言。この2人ここがブリッチであることや他人ことなどお構いなしである。
「まてまてレナ、私の方が先に約束していたのだ。早い者勝ちだ」
「でも、私だってレイナス様と"デート"したい!」
「私の後にすればよかろう?」
「う~、でも~」
この2人、本人の同意無しに勝手に話を進めている。
ブリッチのあちら、こちらでひそひそ話が聞こえる。
「リーラ卿はああ言っておられるが、イクス卿はどちらを選ぶと思う?、賭けないか?」
「俺はリーラ卿かな」
「じゃあ俺はレナ卿だ」
「レイナス様とデート……うらやましい」
「よし、私も今度約束してみよ!」
と、各自それぞれ色々なことを言っている。
さらに艦長であるアデスとその親友で4大騎士の1人であるガルドまで。
「確かに……、あの仮面のままで街に出れば変質者と呼ばれるのでは……なあガルド?」
「言うな……、本人が一番気にしているのだから……」
レイナスは心の中で(二人ともそういうのは僕の聞こえないところでいってよ……)と思っていた。
カリスはというと……すでにいなくなっていた。
余談であるが彼は以前に2人の恋する乙女(リーラ&レナ)の斗いに口を挟み、ボロ雑巾のようにされた過去がある。
そんなことを思っているうちに2人の少女(リーラ&レナ)が話しかけてきた。
「こうなったら、主に決めてもらいましょう!」
「わかりました、レイナス様が決めるなら文句は言いません!」
「主!、どっちにしますか」
「レイナス様!正直にいってください!」
「え、いや、その……」
「「ファイナルアンサー!」」
レイナスは内心びくびくしながら、静かに。
「じゃあ、2人一緒にというのは……」
と彼も爆弾発言。
それに対して2人の恋する乙女(リーラ&レナ)は。
「主がそう言うなら私は構いません……」
「私もレイナス様がそう言うなら……」
と、二人とも頬を染めて答えた。
それに対して周りは。
「くそー、はずれたー!」
「ちょっとまて、これは無効じゃないのか?」
「まさかの両方だと!、両手に花とはこの事かー!」
「ああ、お二人とも羨ましい…」
「私だって、私だってー!」
親友組(ガルド&アデス)
「やはり、あの方は天然女殺しだな……」
「私が知る上での女性撃墜数は100を超えておられる……」
など、ある意味?ものすごい会話をしていた。
「レイナス様、どこに行くかこれから決めましょう~」
レナがニコニコと嬉しそうに言ってくる。
「主、私の部屋にデートスポットの資料がありますよ。行きましょうぞ」
リーラはそう言って、レイナスの手をつかみブリッチから出て行った。
それを見てレナも
「あ!、二人きりにはしません!」
と言って、彼女も後を追って出て行った。
彼らが出ていった扉をみながらブリッチの皆は苦笑いをした。
「レイナス様も災難なことだ」
溜息をつきながら自分の上官の事をいうアデス。
それに対してガルドは、手を組み答えた。
「まったくだな」
「あの人はこれからも女難に悩まされるだろうな」
アデスは上官の不幸に少し同情した。
第2話 END
次回予告
ついにレイナスと恋する乙女(リーラ&レナ)とのデートが始まる。
しかしレイナスはどこに行けばいいのか分からない、そこで"彼ら"に相談することに。
そしてデート当日、何故か行く先々でトラブルにあうレイナス達。
そして彼らを追う謎の影達の正体は?
「こちらエヌオー3、目標を発見…」
「こちらエヌオー9、よっくやったエヌオー3我々もそちらへ向かう!。よし行くぞエヌオー6」
「……わかった」
「主、どうしました?」
「レイナス様、何キョロキョロしているんですか?」
「誰かに見られている気がする……」
次回 第3話 ダブルデート? レイナスの災難
最終更新:2009年06月20日 22:51