041-247 コードギアス LC ~反逆者達の願い~ Action04 円卓 学生 詐欺師 02 @羽付き羊

01


ノネットの勝利宣言から少し前、モニカとライツは交戦中であった。
空めがけてスピアを投げ入れた瞬間にモニカはその場所に向かってスピアを持って突進を仕掛けていた。
「くっ!」
サザーランドは隠れていた場所から飛び出し、その攻撃を避ける。隠れていた木はスピアの攻撃によりなぎ倒されてしまった。
「逃がさない!」
モニカはサザーランドがまた隠れ出す前にまたサザーランドに詰め寄った。
「ぐっ…」
サザーランドはグロースターに追いつかれてしまい苦し紛れにしか思えない内蔵式マシンガンで反撃をしてくる。
しかし、モニカにとっては避けやすい攻撃でしか無く、その銃弾の嵐を一つも浴びることなくサザーランドの懐に入った。
「もう逃げれないわよ…」
サザーランドの足をグロースターが踏み、サザーランドは回避ができないし、攻撃をしようにしてもモニカはそれを簡単に避けれる。
サザーランドの運命はこの時点では機能停止しかない。
「じゃあね、さようなら。」
止めを刺そうとした時、サザーランドの音声が流れた。
「アンタ、本当にチャンネルがオープンになったのは偶然だったとでも思ってんのか?」
「!?」
不意を突かれた言葉だったのでモニカは固まった。
「偶然な訳ないだろう?」
ライツは淡々と話を続ける。
「流石はラウンズだけあって小細工の一つや二つ入れなきゃ歯が立たなかったわ。」
そういうライツの声色は余裕に満ちていた。
「アナタ達はもう止めを刺されようとしているのよ?小細工を用意してもそれを発揮しなかったんだから無意味だったんじゃない?」
モニカは止めを刺す前にライツと会話をする。オープンチャンネルにワザとしたとしてもモニカ達は罠にかかっていないはずなのに、まんまとモニカ達を嵌めたように話す彼が気になったからだ。
「小細工にかかった時点でアンタ等は罠に嵌まってんだよ。」
完全な強気に出るライツ。
「何を言っているの?この状況で私達に勝てるなんて神様ぐらいなものよ。」
機体の性能も、経験も、実力もすべてが上回っている。さらにライツ達の機体のダメージは大きくもうそんなには動けないはず、その状況でラウンズに勝てる者など歴史上に存在しなかった。
「…神様か、そりゃぁ良いな……じゃあ神様らしく予言でもしよう。」
予想外の言葉にモニカは呆れはてた。
「面白いじゃない、やってみなさいよ。」
モニカはサザーランドの足を踏み、相手を動けないようにしている。ここからどうあがいてもライツは逃げる事は不可能であるし、
攻撃されてもすぐに避けることも、攻撃される前に相手をスピアで貫く事も可能だ。その絶対的な自信からモニカは相手に時間を与えたのだ。
「俺が3秒数えるまでにKMFが機能停止だ。」
その言葉を受けたモニカはサザーランドの全ての動きや、音を逃さないようにライツに集中した。
「3…」
まだライツは動く気配はない。
「2…」
(油断を誘っているのかしら?私がそんな事で揺らぐわけないっての。)
「1…」
サザーランドは動く気配はまるでない。モニカはあらゆる状況の判断をしたが、この位置からではライツがモニカを1対1で倒すことは不可能である。
「0」
ドカーン
その刹那、ノネット達の方から大きな音がした。
「あら?自分の仲間のKMFの終わりについて予言でもしたのかしら?」
モニカはライツを嘲笑った。
後ろからランドスピナーの音、当然ノネットが来たのだろうと思い確認しようと振り向こうとする。
「ノネットこれは私がやる…」
殺気を感じ取りライツのサザーランドを放した途端にグロースターに衝撃が走った。
「ライツ!大丈夫か!?」
そこに居たのはモニカと同じ帝国最強の騎士の1人であるノネットではなく、ノネットと1対1で勝負していた人間だった。
「ノネットが負けた!?嘘?」
モニカはあまりに予想外な事に一瞬、動揺してしまう。
「一気に叩くぞ!スザク!!!」
モニカの動揺の隙をついてスザクとライツは一気に攻勢に転じ、2機のサザーランドはスタントンファーを使ってグロースターを狙う。
「くっ……ラウンズなめんじゃないわよ!」
モニカは右から来たスザクのスタントンファーをスピアで叩き落とし、左から来たライツのスタントンファーを蹴りで弾き返した。
「ぐっ……機体のダメージがデカイせいで動きが鈍い…」
ここで一気に決着をつけておかないともう勝機はない。機体のダメージも大きいし、残りのエナジーも少ない、相手の気持ちが崩れかけている時に倒せないとなると、機体の性能差でやられるからだ。
「ライツ避けろ!」
スピアがサザーランドに迫る、ライツはスピアをかわすためにペダルを踏み込む。
しかしサザーランドは主の言う事を聞いてくれなかった。
モニカのグロースターはライツのサザーランドの足を踏んでいた。サザーランドは前後左右に移動する事ができない。
そしてスピアは勢いよくサザーランドを貫こうと襲いかかる。
「くっ!」
モニカのスピアの攻撃を喰らった。ダメージレベルは大破。もう一撃でも掠ればサザーランドは完全に機能を停止になる。
「ライツ!」
スザクのサザーランドがスタントンファーでグロースターを襲う。グロースターはライツのサザーランドを放し、ランドスピナーを急加速させて距離を置いた。
「貴方…さっきまでラウンズ相手に手を抜いていたの!?」
モニカは先程の戦闘でライツが実力を隠しきっていたことを悟った。
(あの体勢からサザーランドの胴体をねじる事によってダメージを減らすなんて…)
ライツはとっさにスピアの当たる瞬間にサザーランドの胴体をねじる事によって相手の攻撃をいなしダメージを軽減させていた。あれがなければサザーランドは完全に機能停止をしていただろう。
(サザーランドの反応速度じゃ“見て”からじゃ行動不可能、ということは踏まれたと認知した瞬間にこの動きを“予測”していたってこと!?)
恐怖のせいなのか、武者震いのせいなのか、鳥肌がたったまま収まらない。操縦桿を握る手は汗で湿っていることが感じられる。
(これ程なんて…ラウンズ以外の相手で感じたことないわ。)
久しく感じていなかった高揚感にモニカは嬉しさに浸っていた。
「スザク行くぞ!」
ランドスピナーをまた相手に向かって加速させる。一撃でもかすればライツのサザーランドは機能停止、にも関わらず自ら相手の懐に突っ込む。
ここで手を休めたら相手に一気に流れを持っていかれると判断したからである。
「ああ!」
スザクにサザーランドもライツと逆方向の位置からモニカのグロースターに突っ込んでくる。
「ラウンズに二度同じ攻撃は通用しない!」
モニカのグロースターはスピアを手放した。
「(スピアを捨てた!?)スザク!グロースターのスピードが少し上がるぞ!」
モニカは破壊力より機動力を選んだ。スタントンファーの一撃でどちらのサザーランドも沈むぐらいのダメージである。そうなるとモニカのダメージは軽微、スピアの射程の長さを捨てて、接近戦に持ち込んだ方が良いと一瞬のうちに考えたからである。
ライツのサザーランド目がけてランドスピナーを一気に加速させ、一瞬のうちにライツの懐に入られた。
「(予想より、2秒近く速い!)くっ…」
サザーランドは間を取ろうとするが、また足を踏まれ動けない。
「The endね。」
「ちぃ!なら!!!」
スタントンファンを振り上げる瞬間にライツはスラッシュハーケンをグロースターに向かって射出する。
が、モニカはそれを正確すぎるタイミングと角度でハーケンを射出しそれを撃ち落とした。
「スザク!」
「残念、はずれよ。」
モニカはトンファンを振り落としサザーランドの機能を停止させた。
「今だ行け!」
ライツの掛声と共にスザクのサザーランドはグロースターに向かいトンファンを振り上げる。
「ちょっとタイミングが遅かったわね。」
モニカは最後のサザーランドの攻撃をかわそうとグロースターを移動させようとする。
しかし、グロースターはモニカの操縦通りに動くことはなかった。
「えっ?……まさか!?」
先程倒したサザーランドがグロースターの片方の足を踏んだまま機能を停止させていた。
「タイミングはベストだよ。」
ライツのサザーランドを振り払おうにも、その間にスザクのサザーランドにやられてしまう。
「勝たせてもらいますよ!」
スザクがスタントンファーを振り下げる。既にハーケンは撃ちだしており、この状態からではマシンガンも射出できない。
このままでは負ける。しかし、モニカもラウンズとしての意地がある。
「ラウンズに負けは存在しない!」
グロースターは回避をせずに胴体をねじってサザーランドの方向へスタントンファーを突きだした。
ドカーン!
2つの音がぶつかり爆煙がその場を包んだ。


ナナリーに今度他の折り紙の折り方を教える約束をしたライは学園を離れて租界の公園に1人で来ていた。
「僕は何者なんだろうな…」
今日の出来事を振り返り彼は独り呟いた。ナナリーといる時はなぜか気分が安らぐ、自分でも理由は分からない。
しかも、自分の記憶が戻った訳ではなくただ漠然と妹がいるという事を感覚的にしか分かっていない状態に、自分が何者かをもっと知りたくなったのだ。
「知りたいか?」
後ろからの声に気づき後ろを向くと緑髪の少女がピザを食べながらベンチに座っていた。
「自分の事を知りたくないのかと聞いているのだが?」
「君は誰だ?」
ライは最後の一口を食べている少女に疑問を投げかける。
「私はC.C、魔女だ。」
「魔女って…」
「そんな事よりお前は自分の事が知りたくないのか?自分の事を。」
手に持っていたピザを食べ終わり彼女は指に付いたチーズを舐める。
「僕の事を知っているのか?」
「知っていると言えば知っているし、知らないと言えば全く知らないな。」
何やらおかしな人に絡まれたなと思いライはその場を離れようとした時
「…お前のその力について詳しく知りたくないのか?」
「!」
「どうなんだ?」
C.Cは不気味な笑顔でライの方を見る。
「…本当に教えてくれるのか?」
「ああ。約束しよう…それより1つ聞くが…」
「何だ?」
C.Cは少し戸惑いながら聞いた。
「…アイツはいないのか?」
「アイツ?誰の事だ?」
ライは不思議に思い彼女にそれが誰なのかを聞く。
「……そうか、ならいい。明日同じ時間にまたここに来い。お前の力について詳しい事を教えよう。」
“アイツ”が誰なのかは気になったがそれ以上にライはこの力の事の方が気になっていたので彼女の言葉を素直に受け取った。
「…分かった。なら同じ時間にまたここで。」
ライはそう呟くと学園へと帰っていった。それを確認した彼女は彼の居なくなった公園で独り小声で呟いた。
「……アイツ等の運命はもう誰も止められないのかも知れないな………そう神すらも…お前もそうは思わないか?マリアンヌよ…」
その言葉は誰にも聞こえる事はなくただ彼女の胸の中だけに響いていた。


「結局のところ引き分けかよ……」
勝敗は引き分けというなんとも後味の悪い結果であった。あれだけ小細工や罠を仕掛けておいて勝つことができないのは悔しい。
「引き分けは引き分けだよ、それ以上でも以下でもない。これが今の僕達の状況だ。」
スザクの言葉通りである。機体差があるのに引き分ける時点で充分凄いと思われるが、実際のところは小細工と罠を仕掛けてやっと戦える程度なのだ。
小細工なしの真っ向勝負では歯が立たないのが現状、ラウンズとの差を改めて感じた。
「コーネリア総督、何か急用ができたみたいで途中で帰ったみたいだな。お礼の挨拶しておきたっかたのに…」
「何でも麻薬の事に関して新しい情報が手に入ったらしいね。」
スザクは先程セシルの話していた事を思い出した。何でも先程の模擬戦の途中に麻薬の件についての新しい情報が入ったらしくその事で政庁に戻らなくてはならなかったらしい。
「でも、俺らザコだと思われてないか?」
「…かもね。模擬戦の途中という事だし…」
2人は揃って溜め息を吐く、総督へのアピールも兼ねていたので途中で居なくなったのは計算外だったからだ。
2人は帰る為の支度を始めるが、2人の空気は重々しい。
「待て。」
静かであるが凛とした声に振り返ると、ラウンズの二人が立っていた。
「あれ?公務があるんじゃなかったんですか?」
スザクが驚きながら聞いた。
「そんなもの全部キャンセルだ。」
「“そんなもの”って…」
「公務も大切だが、お前らに聞きたいことが山ほどある。」
「で、聞きたいことって何?」
ライツは面倒臭そうに耳をポリポリ掻きながら聞いた。
「お前、アレを狙ってやったのか?ラウンズでもあんな芸当できる奴はいないぞ?」
ノネットはスピアの刺さったグロースターを見ながら言った。
「偶々……と言っても信じてもらえそうにないか……」
「当たり前だ。常に周囲は警戒しているし、何よりグロースターの足を踏んで回避を不可能にさせている。これが偶々な訳ないだろう。」
スザクに止めを刺そうとした瞬間、真上からの何かの気配を瞬時に感じたノネットは懐に入った瞬間に、回避するべく真後ろに飛ぼうとしたがスザクのサザーランドがグロースターの足を踏み、動きを止めた。まるでこちらの行動を読んでいるのかのように。
「説明するのはややこしいから嫌いなんだがな…」
今度は髪をポリポリ掻きながら説明を始める。
「今回の模擬戦では出力、反応速度、サクラダイトの量、機体のスペックの差は歴然としている。そのままやって勝てる確率は5%未満だ。」
(5%未満ねぇ、大きく出たもんだ…1対2なら互角で戦えるだろうがな…)
ノネットは心の中でそう呟きながらライツの話を聞く。
「そのスペックの差を埋める為にだ。」
ライツはスピアの刺さっているグロースターを指差した。
「それでオープンチャンネルを開いたふりか…」
ノネットは顎を指で触りながら話を聞いていた。どうやら素直に話を聞くつもりらしい。
「人間というのは、弱い者とやる時はどこか油断ができる。アンタ等もそれだ。そこを利用しない訳がないだろう?」
包帯で表情は見えないが、不敵な笑みを浮かべていそうな声色だった。
「作戦だとバレル可能性も十分にありましたから、バレないようにこっちは必死でしたよ。」
スザクは心底その行為に疲れたらしく安堵の為か溜息を吐く。
「で、こちらの作戦が筒抜けだという事を心に刷り込ませる。」
(成程ね…作戦通りにする為に弱い者のふりをしていたの…)
モニカもライツ達の作戦内容をしっかり聞いていた。あの機体差で自分達に引き分けた作戦がどうしても気になるらしい。
「まぁ、ダメージをある程度受けたのも作戦の内だが、予想の1,75倍のダメージだった。これが最後の最後に響いてしまったが…」
残念そうに溜息を吐く。
「スピアを上に投げる事でスピアに気を取らせ、一気に叩く作戦はフェイント。本当の狙いはその作戦通りの行動を起こし、
こちらの作戦が筒抜けと完全に思わすことを疑いのないものにすること。」
「そして1対1を意識させ周囲の警戒心をなくさせるのも狙いです。」
「1対1の勝負に持ち込み、少し距離を置く事で目の前の相手しか敵はいない。そう思わせた時点で罠にかかったわけだ。」
「スピアを計算して投げたのか!?私があの位置にいる事も含めて?」
そもそも本当に計算していたのかどうかも怪しいと思っていたがここまで計算し尽くされている事にノネットは驚きを隠せなかった。
「色々大変だったぜ…入射角、湿度、気温、風速とかを色々計算しなければなんないからな。」
淡々と説明するライツを見て2人は彼の底のしれない凄さをひしひしと感じている。
「一度手放したモノは使えない。その“先入観”を使ったまでの話だが…」
「でもさすがラウンズですね…あそこで回避しようとするなんて…ライツの言った通りに足を踏んでて助かったよ。」
「エニアグラム卿の凄さは危険察知の能力が並外れているところでもある…要は勘だけど…」
ライツは呆れたようにスザクの言葉に返答した。
先日ラウンズの資料を見たときにノネット・エニアグラムという人物は9回の死線を潜り抜けたせいか異様な危険察知能力を持っていることが判明し、
回避される危険を阻止する為の処置を既にスザクに指示していた。
「クルシェフスキー卿はエニアグラム卿の戦闘能力を誰よりも高く評価しているから、エニアグラム卿を先に倒す事で動揺を誘って一気に打ち取る作戦だった訳ですよ。」
「以上が俺達の作戦という訳だ。」
“凄い”まずこの言葉が彼女たちの頭の中を過った。
こんな作戦を試合開始前に打ち合わせし実行に移すことのできる実力、サザーランドでは避けられるはずのない攻撃をいなす技術、自らの作戦を相手に悟らせない為の数々の細工に罠、こちらの心理を詠んだ作戦、モニカとノネットは驚き以上に喜びを感じていた。強い奴等とやれた事、そしてその奴等はまだ発展途上だということが彼女等にとっては嬉しかったのだ。
まだまだ強い奴らとやれる。ラウンズに入ってからあまり感じなくなった強い奴らと凌ぎを削る戦いは彼女等が求めていたものそのものだ。油断していたとはいえ、スペックで劣る機体で互角の勝負をした彼らに逢った事自体がこのエリアに来たかいがあったと感じていた。
「アンタ達面白いね。余裕がある奴が実力を隠すってのはよくあることだが、余裕がないのに実力を隠すなんてマネをするなんてな。」
ノネットはライツの方を見て言った。
「賭けだったし、結局は引き分けだったしな。」
そう言った青年の顔は包帯で見えなかったが、その言葉は勝てる自信があった事を物語っている。大胆でいて緻密な作戦、動きもダメージも全て計算し尽くしている。
「ははは!私たち相手に引き分けるなんてこの世に片手程しかいないぞ?贅沢な奴だな!」
ノネットは豪快に笑いライツの肩をパシパシ叩く。力がこもっているせいか一発叩かれる毎にライツの肩は悲鳴を上げていた。
モニカの方はライツを見て、
「まるで“戦場のペテン師”ね。」
彼の戦い様を見て自分の感じた事を言った。
「そうそう、私もそう思ってた。コイツは“詐欺師”だよ“戦場のペテン師”ってピッタリだな。」
ノネットは相槌をうつ、
「戦場でのその言葉は最高の褒め言葉だな。」
ライツはその言葉を素直に褒め言葉として受け取った。
「もう一人のお前もやるな、今日は機体との相性が悪いようだが?」
ノネットはスザクに向かって素直な疑問をぶつけた。
「コイツはランスロットに乗らないと本来の動きができないんだよ。」
スザクではなく何故かライツが答えると「やはりか」というノネットの言葉が出てきた。
「お前等なら、ラウンズとして私達として肩を並べる事ができるかもな。」
「そのつもりだからアンタ等に敬語を使っていないんだが?」
自信満々にそう言ったライツを見てノネットは笑った。
「ははは!本当に面白い奴だなお前は!?困った事があれば私の名を使ってかまわんぞ?」
高らかに笑いながらノネットはライツの頭とスザクの肩をパシパシ叩く。
「ふふふ…今度貴方達と戦う時は、絶対に勝つから楽しみにしてね。」
モニカはそれを見ながらクスクス口を手で押さえながら笑いながら述べた。
「じゃ、またな。」
「また逢いましょう。」
彼女達はそう言って来た道を戻っていった。
「これからだなスザク。」
「そうだね。」
今回の模擬戦で得たものは果てしなく大きい。自分の名を売るのにはこれ以上の事はないだろう。しかもラウンズに自分達の実力を認められたのだ。
しかし、これで終わりではない。始まりにしか過ぎないのだ。
「絶対に日本という名を取り戻してみせる!」
「ああ、これからもっと大変な事になると思うがよろしくな。」
2人は握手を交わし、自分達のこれから先の運命を称えた。


お・ま・け
「ねぇ、そういえばあのグロースターの修理費ってどうなるの?」
「ん?そりゃ、ラウンズ持ちじゃねぇ?俺らの安月給じゃ、あんなもん人生が3回あっても支払えるかどうかだぜ?」
「あははは、残念でした。修理費はライツ君持ちだよ~」
「………え?マジ?…」
「エニアグラム卿から言われたよ~。というわけで君はずっと僕のデヴァイサーとしてタダ働きだよ~」
「………スザク、俺もラウンズを目指すぜ!一緒にエリア11を日本に戻そうぜ!」
「………ラウンズになって今回の模擬戦の修理費をちょろまかそうとしてない?」
「ナニヲイッテイルノカナ?ボクハ、ジュンスイニ、ニッポンノタメヲ、オモッテイルヨ?」
「棒読みだね……演技が上手いだか下手なんだか……」
「ハハハ、イッショニガンバロウ!」
「はぁ~、これからが不安になっちゃったよ…」
「ロイドさん!あれは冗談だってエニアグラム卿が言ってたじゃないですか!」
「いや~、だって反応が見たかっただもん。」
「まったく……あっ、そういえば今日オスシ作ってきたんですよ。」
「「!」」
「……イヤー、キョウハ、ナンダカ、ツカレタカラ、イエニカエッテ、ネルヨ。アシタネ~。」
「ロイドさん?今日はベルギー産のチョコを使ってる自信作なのに…まぁいいわ。スザク君とライツ君に食べてもらいましょう。」
「セシルさん!自分は今日の模擬戦を家に帰ってシュミレートしたいので、お先に失礼します!」
「ちょっと、スザク君!?……走って帰るつもりなのかしら?ここからアッシュフォード学園まで100kmはあるのに…ライツ君食べる?」
「これって何?」
「エリア11の伝統料理のオスシというものよ。」
「?米にチョコを乗せるのか?変わってるな。パクっ………」
「どう、おいしい?」
(な、なんという絶望的な味。見事に一つ一つの食材がそれぞれの味を殺しあってるし、お口の中が喧嘩してるし……ここまで合わないものをトッピングする感性が分からん…)
「セシルサン、コレッテ、ジブンデタベタコトアリマス?」
「ん?泣く程おいしかったの?私は自分で食べるより相手に食べてもらう方が好きだから試食はしてないわよ?」
「イヤ~、オイシイデスカラ、タベテミテクダサイヨ~。」
「わかったわ。パクっ……」
「ドウデスカ?」
「美味しい!私って料理の才能があるのね♪」
(やばい、味覚が“残念な人”だったのか…)
「じゃあ、いっぱい作ったからたくさん食べてね♪」
「……ハハハ…ハァ~……(とほほほほ…)」


「ピザだと?」

未来が絶望しかない人々 現在が苦痛でしかない人々
そんな人々は過去にすがるしかない 平静を保つ手段がそれしかないから
過去は実際にあった奪われる事のない幸せの記憶なのだから

次回 コードギアス LC ~反逆者達の願い~ 
Action05 麻薬 と 母親

「冗談でしょう?」
「実は、話しておく事がある。」

人は誰かの為にこそ強くなれる


最終更新:2009年06月23日 21:49
ツールボックス

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