041-475 ○ささやかな願い○

それは生徒会の七夕祭の時だった。
僕は短冊をもってナナリーに話しかける。
「これに願い事を書いてお願いすると、願いがかなうって言われているんだ。僕が換わりに書いてあげるよ。それで、ナナリーは何を願うのかな?」
僕がそういうと、少し考えるナナリー。
その仕草はとてもかわいい。
きっと「世界が平和でありますように」とか「やさしい世界でありますように」とかなんだろうな。
そんなことを考えていたら、どうやら願い事が決まったらしく、ナナリーが話しかけてきた。
「えーーっと……、では……すみません。書いてもらえますか?」
その言葉に僕は快く返事を返す。
「うん。いいよ。何にしたんだい?」
そう聞き返すと、ナナリーは少し頬を染めた。
ああ、かわいいなぁ、本当に……。
皆がいなかったら、抱きしめたいな。
そんな邪な思いがムラムラと湧き上がってくる。
いかん、いかんっ。
慌てて頭を振ってナナリーの言葉を待つ。
「えーっとですね……、私の願いは……」
「うんうん……」
真っ赤になって呟くようにナナリーは言葉を続けた。
「世界が私の足元にひれ伏してほしいって……。きゃっ、はずかしいです」
僕は、その場に固まって動けなくなっていた。
蛙の子は、蛙なのだと痛感しながら……。


ちゃんちゃん~♪


最終更新:2010年02月23日 00:34
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