文献情報

  • 田中博史, 盛山隆雄(編著): ほめて育てる算数言葉~算数授業の言語活動を本当の思考力育成につなぐめに~, 文渓堂 (2013).

構成

 3つの章からなります。第一章は「問題提起」で、編著者2人が「たとえば」の言葉と問い返し発問を用いて、子どもたちの表現力を向上させる方法を提案しています。
 第二章は「提言」で、算数授業における言語活動について、9つの解説(それぞれ数ページ)と22のフレッシュ提言(それぞれ1ページ)で構成されています。
 第三章は編著者2名、著者のうち9名による座談会が中心です。「~にするのならできるよ」など、大事にしたい授業の言葉11個について詳しく解説したあと、座談会の結果できあがった「言葉マップ」を見開きで載せています。

かけ算の式

  • 50-55頁(永田美奈子:「でも…」を生み出す授業と教師の手立て)では、比例の学習として、正三角形の規則的な配置をもとに、段の数と増えた辺の数の関係を求めています。教師が「だんの数に3をかけると増えた辺の数になるんだね」(だんの数×3=増えた辺の数)と言うと、子どもたちは「なんかおかしい」と言い出し、「3×だんの数=増えた辺の数」を得ています。
  • 110頁(座談会)で、わり算の導入授業で、Aくん、Bくん、Cくん3人の封筒におはじきを配る際に(A、B、C)、(A、B、C)、(A、B、C)、(A、B、C)と4回袋に入れたとき、子どもが「4×3は12」というかけ算の考えで総数を求める*1ことを紹介しています。トランプ配りであっても、1人の個数(配る回数)がかけられる数になっています。

外部リンク

最終更新:2013年07月31日 06:27

*1 授業は、3人の封筒からおはじきを取り出すと、個数が異なるという展開になっています。1回にちょうど1個を入れるというルールにしていなかったからです。