文献情報

  • Nesher, P.: "Solving multiplication word problems", Analysis of arithmetic for mathematical teaching, Routledge, pp.189-219 (1992).

概要

 "word problem"とは、文章題のことです。
 書籍の第3章にあたるこの解説では、はじめに子どもたちのたし算・ひき算の文章題理解を概観したのち、かけ算だとどうなるかという問題意識のもと、3種類の方法を紹介しています。
 1番目はかけ算・わり算に関するモデル(implicit models)の構築で、非対称性・対称性の違いや、「かければ大きくなる」「わり算は大きい数を小さい数でわる」といった子どもたちの持つミスコンセプションなどが書かれています。
 2番目は次元解析(dimensional analysis)で、文献:Vergnaud 1983文献:Vergnaud 1988文献:Schwartz 1988などを引用しています。なお、199頁では、Vergnaudは「1」を含むfour-place relation、Schwartzは「1」が出現しないthree-place relationで分析されていると違いを指摘しています。
 3番目がテキストに基づくアプローチ(textual approach)です。そこでは、Schwartzのモデルにおける「I×E」と「S×E」の違いにページをとっています(203頁以降)。また「E×E」や「I×I」の事例も書かれています。
 I・E・Sの各文字の意味ですが、Iは内包量(intensive quantity)あるいは「1あたり量」、Eは外延量(extensive quantity)です。Sについては明示されていませんが、読んだ限りでは、倍率すなわちscaling factorが適当と思われます。

外部リンク

最終更新:2014年10月11日 21:21