「分離量」とは
自然数と対応づけられる量をいいます。最小単位の決まっている量、と言い換えることもできます。分離量と連続量を合わせたものが「量」となります。
個数や人数など、整数を使って表されるものは、分離量です。長さ、時間、重さ、面積などは、連続量ですが、その測定値は近似値であり、無限小数や無理数で表すわけではないので、分離量とみなすことができます。
分離量は「離散量」と書かれることもあります。算数教育の文書では「分離量」と書かれることが多いです。
かけ算・わり算と分離量
2年で学習するかけ算は、「分離量×分離量」です。3年では、値を整数に限った、連続量を含むかけ算が出てきます。かける数が連続量(小数)になるかけ算は、5年で学習します。
2つの連続量の積は一般に、連続量ですが、2つの連続量の商は、分離量になる可能性もあります。13リットルの醤油を3リットルずつに分けると、4つできます。13や3を小数・分数の値に変えても、「いくつできるか」の答えは、整数となります。連続量の包含除で、このような事態が起こります。「連続量×分離量=連続量」というかけ算の式を変形して「連続量÷連続量=分離量」とすることでも、説明ができます。
文献
- 文献:銀林1975b 32-43頁では、分離量・連続量を特徴づけるものを、数学的に検討してており、最小元がある量の集合は、整数群と同型(したがって分離量)であることを示しています。
- 文献:遠山2009-2 177-178頁では、「13Lのショウユを3人に分けるのと,3Lずつに分けるのでは明らかに意味がちがう」として、連続量の等分除・包含除が異なることを指摘しています。
- 文献:高木2008 216頁の脚注18では、「又ここに量と称するは連続的の量に限れり.此故に物の数などは之を量の圏外に排斥せり.」とあります。「物の数」が、分離量に相当します。
- 文献:算数解説2008での、「分離量×分離量」には、「1袋に5個ずつ入ったみかんの4袋分」(98頁)、整数の連続量を含むかけ算には、「1mのねだんが85円のリボンを25m買うと代金はいくらか。」「ひもを4等分した一つ分を測ったら9cmあった。はじめのひもの長さは何cmか。」(ともに107頁)があります。
外部リンク
最終更新:2012年12月16日 05:57